救難信号
『ピピッ!ピピッ!ピピッ!・・』
航海中、この音はあまり聞きたくないものだ。
「船長、救難信号を受信しました。
・・どうしますか?」
「どうしますかだと?
助けるに決まっているだろう!
急いで向かうんだ!」
私はこの『イレヴン号』の船長をやっている。
この手の救助は今まで何度か経験がある。
助けられる確率は半々というところだろうか。
勿論全員が生きている事もあるが、
何名かは死んでいる事もよくある。
「船長、もうすぐです。」
「うむ・・助けられるといいがな・・」
船が見えてきた。
うちよりひと回り程小さい船だ。
お隣の国の船のようだ。
よかった、ちょうどそこの言葉が話せる乗員がいる。
甲板で一人の男が両手を振っている。
乗員が声を掛けた。
「_)#.G#ET/Oa?」
男は応えた。
「あーそうだな、俺はこっちの言葉が喋れるから、大丈夫だ!
しかしよかった、助かったよ・・」
私は男に尋ねる。
「生存者はキミだけか?」
男は安堵の表情で
「いやあ実はそうなんだ。他の者は皆ダメだ。」
と言い、ポケットに手を突っ込みながら、そそくさとイレヴン号に乗り込んできた。
私は爆発物や危険物があった場合は、この船をそのままにしておくわけにはいかないと、
救難信号が出ていた船を簡単に調査した。
なるほど確かに生存者は彼だけのようだ。
しかし何もない船だな。
これだけ沖に来るならもう少し食糧や金を積んでいてもいいものだが・・。
それに死んでいる者は揃って手に武器を握っている。
内輪揉めでもあったのだろうか?
おや?この者は死ぬ前に何か書き残そうとしていたようだ。
しかし私では隣国の言葉が分からない。
アイツを呼んでこよう。
私はイレヴン号に一瞬戻り、隣国の言葉が分かる乗員をその場に連れてきた。
「これなんだが・・何と書いてあるか、分かるか?」
「・・・なるほど・・
船長、早く船に戻ってください。
しかし慎重にです。
あの生存者はどうもこの船の乗員では
無いようで・・」
その時、イレヴン号の方から銃声が聞こえた。
気付くのが少し遅かった。
あの救難信号は罠だったのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます