第11話
「お、おう。おはよう」
玄関の前にエリカが立っていた。……なんで。
「よく眠れた? 私はぐっすり眠れたよ。今日も一日頑張っていこう!」
元気よく腕を空 に突き上げた。
エリカはあの日から切り替えができたようで、元気いっぱいだった。対照的に俺は元気がなかった。
あの日以来、これからどうエリカに接すればいいかを悩み続けていたからだ。だから、なかなかこの二日間は眠れなかった。
あの時、エリカは俺に何を求めていたのだろうか。ますますエリカを見て分からなくなる。
告白を断っても、二日で持ち直すことができるのだろうか。そして普段と変わらず、断った相手と接することができるのか。
振られたから接する態度が変わると期待するのは俺の思い上がりなのか。断られても接する態度が変わらないのは普通のことなのだろうか。
こんな感じのことをあれからずっと堂々巡りしている。
「行ってきます」
とりあえず家を出る。
いつものように家を出たからと言っても、ここからはいつもと同じようなわけにはいかない。エリカは鼻歌を歌っているが、俺はとても気まずかった。何がエリカをそうさせている。楽しい要素などあるのだろうか。
「天気良いな」
少し探りを入れてみよう。まず天気の話題で会話を(俺にとって)リラックスさせよう。
「今日は良い天気だね。私の気分も上々だよ」
「そ、そうだな。良い天気だな」
なんでそんなに上機嫌なんだ?と聞きたいが、ためらってしまう。果たしてこれは本当に聞いていいことなのだろうか。
頑張って切り替えたことを、無かったことにしてしまうのではないか。
結局聞くことができなかった。柊木と会ったからだ。
「おはよー、修哉君」
よっと手を挙げながら柊木は向かってくる。柊木はエリカのことを誰?という目で見ていた。
「おはよう、柚香」
「えっと、その彼女は……」
グイっとエリカは柊木の前に顔を近づける。柊木は驚いてた。エリカを避けるために少しあとずさる。
「シュウの《幼馴染》の
幼馴染を強調して言うエリカに柊木はニヤリとした。
柊木はコホンと咳払いをした。
「これはこれは。私は柊木柚香って言います。この前この学校に転校してきました。修哉君には仲良くしてもらってます。転校してきて初めての友達です。これからもよろしくね、幼馴染の芦田さん」
クルっと柊木は回って、校門のほうを向いた。
「ここで話すのも目立つし、学校に行こっか」
「そうですね。ほら行こう、シュウ」
「そ、そうだな」
俺はエリカと柊木を追いかけるように学校に向かった。
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