第14話 「ショッピングモール」にて


■ 「ショッピングモール」にて


 ――「ショッピングモール」の駐車場。

『バタンッ!』

 シュウは駐車場にて「白いバン」を停め遣ると、ロナルドとともに車を降りてみせて後、「ショッピングモール」へと向かっては歩いて行ってみせていた。

 ――そしてシュウ達の事を追って来ていた「キャンピングカー」もまた駐車場にて車を停めると、その中からは「筋肉質の大男(ムーン)」と「背の低い猫背の男(ウー)」が降りて来て、二人もまた同じくに「ショッピングモール」へと向かっては歩いて行ってみせていた。

 ――一方この時、

『(じ~~っ……)』

 と、ユウキは「車の後部スペース」にて潜んで(ひそんで)いては、ムーンとウーの二人の姿を“撮影して”みせて後、シュウの「携帯電話」に対しては“送信”をしてみせていた。


「コイツらか……」

 シュウは歩きながらに「送られて来た画像」を確認しては、次いでは「携帯電話」をロナルドに対して渡してみせた。

「大柄の男と小柄の男か……。ありがとう」

 そう言うとロナルドは「携帯電話」をシュウへと返した。

 そして、言った。

「それじゃあ予定通り“トイレの中”で待ち伏せるとしよう……」

「そうだな……」

 その後、二人は“後ろを振り向く”事無くに、トイレ目指して歩いて行った。


 ――現在、「ショッピングモール」では『十二国建国記念フェア』というのが開催をされており、本日は平日ではあるものの客数はそれなりに多かった。

 そして、シュウ達が今居る「ショッピングモール」は次のような特徴を有していた。

 ①「ショッピングモール」は“細長い形”をした(基本)二階建ての建物であり、その中央には「メインストリート」と呼ばれる“幅の広い通路”が存在していた。

 ②一階部分の「メインストリート」の両脇(りょうわき)には「色んなお店」が軒を連ねてみせており、二階部分の「メインストリート」は“吹き抜け”で、その両脇には「手摺(てすり)を備えた細長い通路」が存在し、そしてその外側には「色んなお店」が軒を連ねてみせていた。

 ④現在、一階部分の「メインストリート」の一部には「ふわふわアスレチック」と呼ばれる「小さな子供向けの遊具(無料で遊べる!)」が“期間限定で”存在しており、「小さな子供連れの親達」に人気のスポットとなっていた。

 ⑤「メインストリート」には所々に「一階と二階とを繋ぐ階段」があり、その脇には「エスカレーター」が存在していた。

 ⑥また、「一階と二階とを繋ぐ階段」近くの“壁際(かべぎわ)”には「トイレ」が存在してみせていた。



■ 「男子トイレ」にて


 ――少しして、「男子トイレ」の中に「一人の男(ムーン)」が入って来ていた。

『(ずーーん!)』

 男は「大柄」で「筋肉質」であり、そしてその顔面の下半分には(トイレへと入る前に装着をした)「動物を模したマスク(仮面)」が取り付けられてみせていた。

 ――と、

『(ちらり……)』

 ムーンが“トイレの中”を見回すと、シュウが“「小便器」の前にて立っている”のが見えていた。

 そして、「奥の個室(大トイレ)」のドアは“閉まって”いては、“中に誰かが入っている事”を確認する事が出来ていた。

 ――と、

『(カツカツカツ……)』

 ムーンはシュウへと近付いて後、シュウの背後に立ち遣ると、

『(すっ……)』

 と「拳銃」を取り出してみせて後、

『チャッ……』

 と、その銃口を「シュウの背中」へと押し当てた。

 そして、ムーンは言った。

「動くな……。振り返らずに話を聞け……。――警告だ。これ以上オレ達には関わるな……」

 それはドスの利いた(きいた)声だった。

 ――対してシュウは“振り返らず”にこう言った。

「どうしてだい? キミ達が“テロドスの事を匿って(かくまって)いるから”かい?」

「!?」

 言われてムーンは驚いた。

 ――と、次の瞬間、

「動くなっ! 両手を上げろっ!!」

「!!?」

 と、「奥の個室(大トイレ)」の方から声がして、ムーンが“声の方”へと振り向くと、

『(ジャキッ!)』

 と、そこには「個室(大トイレ)」の中から出て来たロナルドが(ムーンに対し)“「拳銃」を構えている”のが見えていた。

 ――そしてまた、

『(くるりっ♪)』

 と、シュウが“ムーンの方”へと振り返ってみていては、

『(にっ♪)』

 と、笑ってみせていた。

 ――それを受け、

『(……ゴクリ!)』

 と、ムーンは唾(つば)を飲み込むと、少しだけ“後退り(あとずさり)”をしてみせた。

 ――そして後、

『(チラッ……)』

 と、シュウの「股間」に対して目を遣ると、そこには“シュウのズボンのチャックが閉ざされている様”が見えており、直後にムーンは“嵌め(はめ)られたのだ”と理解した。

 ――と、シュウは言った。

「それじゃあ取り敢えず(とりあえず)銃を仕舞って貰おうか? それからゆっくり“話”をしようか?」

「…………」

 この時ムーンは“ピンチに陥って(おちいって)”みせていた。

 仮に“シュウを銃で撃とう”としてみても、現在ロナルドから“銃を向けられている”という状況では、下手に動けば“自分が撃たれてしまう事”は明白だった。

 けれども、だからと言って“素直に捕まる”という選択肢も存在せずに、ムーンは困ってみせていた。

 ――そんな時、

「ウ~~……っ」

「「「!?」」」

 と、突然にトイレの「出入り口」の方からは“奇妙な声”がしてみては、三人は“そちらの方”へと目を遣った。

 ――するとそこには、

「ウ~~~っ……」

 と、声を発しながらに(顔面の下半分に動物を模したマスクをした)「背の低い猫背の男(ウー)」が“ふらふら歩いている”のが見えていた。

 ――そして、次の瞬間、

「ウーーーー!!」

「「「!!?」」」

 と、「背の低い猫背の男(ウー)」はムーンに対して飛び掛かっては“しがみ付いて”みせていた。

「な、何すんだテメェ!?」

 ――この時ムーンは「猫背男」の事を“振り払おう”としてみるものの、

「ウーーっ! ウーーっ!」

 と、「猫背男」は離れずに“纏わり付いて(まとわり付いて)”みせていた。

 ――それを見て、

「…………」

「…………」

 と、シュウとロナルドは“混乱”をしてみせていた。

 何故ならば「ムーン」と「ウー」の両名は“仲間同士”であるからだ。

 ――そして、そんな“困惑するような状況”の中、

「――っとりゃあああっ!!」

 と、ムーンはウーの腕を掴んで(つかんで)は、

「ウーーーーっ!!?」

 と、“ロナルドの方”へと“投げ飛ばして”みせていた。

 ――すると、

『ドンッ……!』

 と、ウーは床へと落ちては、

『(ゴロゴロゴロ……)』

 と“転がりながら”に“ロナルドの足元”へと“移動を終えて”みせ遣ると、

「(ニヤッ♪)」

「!?」

 と、“笑って”みせていた。

 ――次の瞬間、

「ウーーーーっ!」

「くっ!」

 と、ウーはロナルドが持つ「拳銃」を、“蹴り落として”みせ遣ると、

『(ジャキッ!)』

 と、ムーンはシュウに対して「拳銃」を向けてみせていた。

 ――そうである。

 先程の“ムーンとウーの遣り取り”は“シュウとロナルドを油断させる為の演技”であったのだ。

 ――対しては、

「――はっ!」

 と、シュウはムーンの腕を“蹴り上げてみよう”とするものの、

『(ガッ!)』

「!?」

 と、「ムーンの太い腕」にて“防がれて”みていては、その直後――、

『パンッ!』

 と、ムーンはシュウに対して“発砲を行なって”みせていた。

 ――すると、

『ヒュンッ!』

「――っ!」

 と、シュウは“それ”を回避して、どうにか“事無き”を得てみるものの、次いでムーンは――、

『パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!』

 と、立て続けに“発砲”を行ない遣ってみせていた。

 ――それを受け、

「――っ! ――っ! ――っ! ――っ!!」

 と、シュウは“銃弾を回避”し続けては――、

「とおぅっ!」

 と、「大トイレ(個室)」の中へと“飛び込んで行って”みせていた。


 ――その一方で、

「ウーーーーッ!!」

 と、ウーは床へと落ちた「ロナルドの拳銃」へと追撃を加えてみせ遣ると、

『カララララーーーー!』

「しまった!」

 と、「ロナルドの拳銃」は「大トイレ」の“下の隙間”を通っては中へと入ってみせていた。

「くっ!」

 ――ロナルドは急ぎ「拳銃」を回収する為に「大トイレ」の中へと駆け出すが、

「ウーーっ!」

 と、その直前に(ウーにより)“足を引っ掛けられて”みていては、

「ぬおおっ……!?」

 と、“バランスを崩して”は、

『バタンッ!』

 と、「便器」に対しては“倒れて”みせてくれていた。

 ――――――

 ――――

 ――少しして、

『(ちらり……)』

『(ちらり……)』

 と、シュウとロナルドは「大トイレ」の中から警戒をしながらに“外の様子”を見てみせた。

 ――すると、

『(し~ん……)』

 と、既にムーンとウーの姿は無くて、シュウとロナルドは“ゆっくり”と「大トイレ」の中から現れていた。

 ――と、シュウは言った。

「やられたな……」

「ああ、まさかの展開だ……」

 ――そして二人は「拳銃」を装備してみせ遣ると、

「――行くぞっ!」

「ああっ!」

 と、言い合って、ムーンとウーの追跡を始めてみせてくれていた。




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