第14話 【冥帝】の住処②

「まずは農業区画に向かうか」


 そう言いながら俺はエレベーターのスイッチを押す。


「何ですかこれは?」


 そう呟く彼女に俺は答える。


「これはエレベーターって言うんだ、このボタンを押すと小さな部屋が現れるから、そこに入って行きたい区画へのボタンを押すとそこにむかえるぞ」


 そう言葉で説明したのだが、実演して見せたほうが早い。


 ポチッとな。


 俺がボタンを押すと上から迎えのエレベーターが下に降りてくる。


 そしてチンっと言う音と共に小さな部屋が現れる。


「こ...これは!?」


 驚く彼女に俺は「まあ入れよ」とだけ伝える。


 全員が入ると俺は4階層へのボタンを押した。


 すると部屋が急上昇し8階層から4階層へと急行する。


「わわっ!」


 驚く彼女の声は少女のように可愛らしい。


「ついたぞ」


 俺の言葉に「もうっ!?」と呟く。


「ああ、これが今日から俺とお前で統治する農場だ」


 そういいながらエレベーターから出ると、そこは見晴らしいのいい草原だった。


 しばらくぼ〜っとした後に自身の頬を引っ張る彼女。


「何これ...、夢?」


 まあそう思うだろうな。


 俺も最初はこの能力もかなりチートだろと思ったし。


【ダンジョンメイキング】とはダンジョンを作り改善する魔法。


 俺の想像力と膨大な魔力と言う消費はあるが、基本的にそれだけの消費で規模の大きいダンジョンもとい生活領域を手に入れる事ができるのは大きい。


 今こうして農場を作ったのは俺が米作りに詳しい事もある。


 ので、とりあえず最初はここで農業を営むつもりだ。


 一応漁業も視野に入れているので、ここが完成したら第2階層も強化していくつもりだ。


 それまでの間は第5階層は貯水場として役に立ってもらう。


 第6階層は物作りに詳しい物が加入した場合に稼働を始めるようにしよう。


 当面の目的は取り敢えず第1階層の防衛力向上と第4階層の生産力UPだ。


 これだけの規模のダンジョン改善を見せれば多少は彼女も俺のことを見直すと思う。


「どうだ? 気に入ったか? まあ俺の魔力も無限じゃないからな、取り敢えずこれくらいにして魔力が回復したらまた改善するよ」


 そう俺が呟くと彼女はいきなり俺の肩を掴んでぶんぶん揺さぶってきた。


「ちょっとどうなっているの!? こんな魔法見た事も聞いた事もないですよ!」


(そんな事を言われても事前に授かったチート能力だし説明のしようがないんだよな...)


「説明のしようがない、ユニークスキルとでも言えばいいか?」


「それ、説明になってませんよ!?」


 そう思っていても説明をしてくれと余りにもしつこいので俺はとっておきの場所に彼女を案内する事にしました。

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