色眼鏡

本日、二話目の投稿。 

 

 ふと思い出した、会社勤めのころに聞いた話。

当時の社長(現在たぶん80歳代)から聞いた雑談で。

 

 小学生時代と言われたので、逆算すると昭和30年代だと思います。

すでに戦後だし、日本も経済成長の波にのりつつある時代だったので、そこまで『食うや食わず』の人は戦後すぐに比べると少なくなっていたと思われます。

それでも、現代と同じように貧富の差はあったらしいです。

 

 さて、話を戻しまして、社長の小学校時代。

学校の行事で遠足がありました。

遠足といえばお弁当がつきものです。

弁当箱にごはんをつめたり、にぎりめしだったり、それぞれです。

社長のお父様は会社を興された方だったので、いわゆる『社長の子』でした。

それでも、持っていってるお弁当は他の子とほとんど変わらない内容だったといいます。

今みたいに冷凍食品が豊富ではない時代のこと、おかずも卵焼きだとか煮物、たくあん……そんなものだったらしいです。

くわしい内容はさすがに忘れたとか。

 

 目的地につき、いよいよお弁当の時間です。

みんなそれぞれ仲がいい同士で食べ始めます。

ふと隣の子のお弁当を見た社長。

中味が自分のとよく似ていたことがうれしくて、ついのぞきこんだそうです。

『おそろいだ~!』といったところだったのでしょう。

それを見かけた担任の先生が、社長本人になにも確かめないままひどく怒ったそうです。

『自分の弁当が自慢だからって、友達の弁当を覗き込んで馬鹿にするとは何事だ』

要約すると、そういう怒られ方をしたそうです。

よほど悔しかったのでしょう。

いまだに忘れないと言われていました。

 

 確かに、世間的には『社長の息子』といえばお金があってイイモノ食べてるイメージもつきものでしょう。

でも、なにも確かめずに、自分の主観だけで一方的に怒りとばす先生の『色眼鏡』のほうに問題があるのでは?と聞いた当時、思いました。

 

 昼ご飯に、ヒジキの煮物を食べてて思い出したエピソードでした。


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