山田です。


「よう西郷、元気か?」


 山田です。


「あ、田所くん。おはよう!」


 山田です。


「どうしたんだよ西郷、最近テンション低くねーか?」

「あはは。田所くんはいつもクールだね」


 山田です。


「ははーん。さては西郷のやつ、夏休みが開けてもう一週間だってのに、まだ夏ボケが治っていないんだな?」


 山田です。


「いやいや、キミじゃないんだから。そんなことないよねー?田所くん?」


 山田です。


「あ、やべぇ。こんな話してる場合じゃねぇや、遅刻するぞ」

「ほんとだ!急ごう田所くん!」


 山田です。



 ☆


「出席とるぞー。安藤」

「はい」

「伊藤」

「はい」

「えーと、次は……宇沢」


 山田です。


「おーい、宇沢。返事しろー」


 山田です。


「おい西郷、呼ばれてるぞ」


 山田です。


「田所くん、返事しなよ」


 山田です。


「まあいい、いるならいい。次から返事しろよな?宇沢」


 山田です。



 ☆



「でさー、こういうことあったんだよ。ほんとやばくない?水野くん」


 山田です。


「いや傑作だよな。学年集会で先生の名前呼び間違えるとか。なあ?柚木」


 山田です。


「ほんとね。人の名前を呼び間違えるなんてサイテーだと思わない?広田くん」


 山田です。


「……お、おい、見ろよあれ!」

「え……キャア大変!子猫が車に轢かれそう……って、庵野くん!?」


 山田です。


「やめろ道路に飛び込むな!死ぬぞ海原!」


 山田です。


「柴島くんんんんんんんんっっっ!!!」


 山田です。




 ☆



『ようこそ、ここは死後の世界です。あなたに生まれ変わる権限を差し上げましょう。あなたの名前を教えてください』


 山田です。


『なるほどヘンリーですか』


 山田です。


『ではヘンリーよ。そなたは異世界で新たなる人生を歩むのです』


 山田です。



 ☆


「た、助けてぇっ!」

「いやぁああっ!まだ私の娘が村に残ってるわ!」

「グハハハハ!愚かで矮小な人間どもめ!怯えながら業火に焼かれるがいい!……ん?なんだこの光は?」


 山田です。


「光から人が……なんだぁ?テメェは?」


 山田です。


「まあいい、お前がなんだろうと関係はな無……げぶぅっ!?」

「見て!怪物の胴体に穴が……!」

「すげぇ、あの化け物に勝てるのか!?」

「貴様……本当に人間か……!?」


 山田です。


「人間……名前は、なんという……?」


 山田です。


「アルクというのか……その名、忘れはせぬぞ……」


 山田です。


「おお、怪物が消滅していく!」

「すごい!!まるで勇者みたいだ!」


 山田です。


「そこのお方、まだ私の子供が、あの火に包まれた村に残っているんです!どうか、助けてください!」


 山田です。


「うわぁああんっ!熱いよぅ……ふぇ……?お兄ちゃん……だれ……?」


 山田です。


「すごいぞあの人、業火の中を瞬間移動でもするかのように、一瞬にして子供を救出した!」

「いったい、何者なんだ!?」


 山田です。


「ありがとうございます。貴方のおかげで、娘は救われました……」

「お兄ちゃん、ありがとう」


 山田です。


「あっ、もう行かれるのですか!?せめて、お名前を……!」


 山田です。


「アニエスさん。あなたの名前は村の勇者として語り継ぎましょう」


 山田です。


「ありがとうアルベルトさん!」


 山田です。


「レイク殿、あなたの名前は決して忘れはしません!」


 山田です。


【突如として異世界に飛ばされた鈴原。彼の冒険は、まだ始まったばかりである】


 山田です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る