全てをゼロにする男

ゼろろん

旅立ち

　ある所に馬車に乗って王都に向かっている青年がいた。その青年の名はノエル。しがない村で家族と共に穏やかに過ごせていた。

　しかし今、その青年の顔は不安でいっぱいである。

　時間は遡ること３日前。

「母さん！！」

　ノエルの母は病にかかってしまったのだ。幸い医者が言うにはまだ余裕があるが、その病を治すにはとても大金がかかると言う。

　もちろんノエルの家にそんな大金あるわけがない。

　ノエルは絶望した。自分の他に今年で15歳になる弟もいるのだ。自分1人ではとても稼いで行くことはできない。

　ノエルは丸一日悩んだ。

　そして決めた。

「王都に行って冒険者になろう」

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