13 屋上の戦い3
「どうした? 急に威勢がなくなったじゃねーか」
松本が笑う。
「『悪魔』を殺されて、戦意喪失したか? ええ?」
俺は答えない。
奴の一挙手一投足に目を配り、隙を見出そうと全神経を集中していた。
「命乞いしてみるか? 裸になって土下座したら、許してやらなくもないぜ? まあ、男の裸なんて見ても面白くねーけどな」
「……誰がするか」
俺は思わず吐き捨てた。
こいつに目立った隙はない。
なら――一つ、揺さぶりをかけてみるか。
「お前はどうなんだ? 俺の能力を食らえば、お前は確実に死ぬ。命乞いをする気は?」
「ないね」
松本が笑った。
「こんな面白いゲーム、途中で降りる理由がないよ」
「ゲーム……ね」
こいつにとって命のやり取りすらゲーム感覚なのか?
――いや、違う。
さっき松本は確かに恐怖におびえ、精神的に崩れる寸前だった。
ならば……今の言葉はハッタリだ。
なぜ、過剰に自分を強く見せるのか?
気持ちが高揚して、言葉が強くなっているのか?
あるいは――。
「どうしたんだよ、おら。なんか言えよ!」
松本が叫ぶ。
乱暴な口調だ。
こいつ、段々と態度がより強気になってきている。
戦いに興奮しているのかと思ったけど、もしかしたら――。
「……たとえば、こういうのはどうだ?」
ひとり呟きながら、俺は一つの仮説を立ててみた。
もしその仮説通りなら――。
奴の能力には明確な弱点が存在することになる。
そこを突けば、俺の勝ちだ。
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