12 屋上の戦い2

「だ、黙れよ! 有利なのは僕だ!」


 松本が俺を指し示した。


「記録20――【光弾】!」

「守れ!」


 俺は即座に悪魔Cに命令した。




 ばしゅっ……。




 悪魔Cは胸元を撃ち抜かれ、倒れる。


「――大丈夫か?」

「いや、致命傷だ」


 悪魔Cが告げる。


「その割には平然としてるけど」

「厳密にいうなら、この世界に具現化するだけの魔力を失った、というところだ……回復するまでに数日かかる」

「じゃあ、数日経ったら復活できるんだな?」

「その通り……だ……」


 言いながら、悪魔Cは消え失せた。


 ……まずいな。


 今の攻撃一発で悪魔を倒されてしまうとは。


「ふん、その悪魔……意外と弱いな」


 逆に松本は得意げだった。


 精神的に俺の方が圧していた状況は、今の攻防でひっくり返ったか。


 そんな状況を俺はどこか他人事のように分析していた。


 決して優勢とは言えないが、それを客観的に受け止められるだけの余裕が、俺にはある。


 すでに能力者との戦いを経験したことによって生まれた余裕だ。


 ……といっても、戦闘経験豊富というわけじゃないけどな。


「さて、どうするか」


 俺は緊張感を高めた。


 松本はどうやら様々な能力をストックしている様子だ。

 それは彼本来の能力ではなく、彼が今までに見聞きした他者の能力のコピー発現……と見ていいだろう。


 いずれにせよ、『松本が複数の能力を使いこなせる』という点は事実だ。

 その能力の中には、さっき悪魔Cを打ち倒した【光弾】のような一撃必殺のスキルがまだあるかもしれない。


 とにかく――一撃食らったら終わりだ。


 俺は死ぬ。


 そう考えておいたほうがいいだろう。


 奴の攻撃を受ける前に、こっちが奴に【殺人チート】を叩きこむ。

 先に致命の一撃を相手に届かせた方が勝ち。


 これは、そういう勝負だ。






***


カクコン中間選考を突破してました! 読んでくださった方、フォロー☆くださった方、ありがとうございました!

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