第7話 「ジャイアン」
その日は快晴だった。空気が気持ち良かった。街路樹は紅葉している。植物が発するマイナスオーラなのか空気が澄んで気持ち良かった。
僕らは、南口から歩いて10分のペットショップに来ていた。「ニコニコ大塚わんにゃん本舗」という文字の白い看板、黄色のラインで縁取られていて、周りに着いた電球が昼間からキラキラしていた。自動ドアの左側にガチャガチャが2段で6台置いてある。
ウィーーーーン(自動ドア)
「いらっしゃいまっせえ!!」
大福みたいにまん丸で、お雛様みたいな可愛らしい少女に声をかけられた。
「あ、お蕎麦好きのみかんちゃんだよね、久しぶり。あのさ、聞き込みなんだ。最近さ、アメリカンショートヘアを飼い始めたなんて人を聞かなかったかな。まあたくさん居るだろうな。餌を買いに来た人とかさ。怪しい人、居なかったかなあ?」
「え〜〜〜。わかんないですぅ。他の人に聞いてみます。みちよさ〜ん!」
奥で話しこんでいる。
「あ〜。おまたせしました、居ましたよ。怪しいアメリカンショートヘアを飼い始めた人」
奥から俺と同年代と思われるしっかりとした何か大人の雰囲気のある女性が出てきた。
「えっ?どんなふうに怪しかったですか?」
「服装?」
「どんな?」
「黒の革ジャンで。オレンジトレーナー、あと黒の革ジャンに……小太りで。いかつい中年の男性ですかね」
「オレンジ色で小太りかあ。ジャイアンですね。先生」桃介がニヤニヤしながら口を出す。
「いかつい革ジャンのジャイアンか。怪しいかなあ」
「あ、なんか餌が何が1番いいのかって。あと安くてって。余り猫の飼い主って感じのお客さんじゃなくて、、威圧感が凄かったんで、覚えてます。10日くらい前かなあ。とりあえず、コレをって保存効くタイプのを紹介しました」
「確かに怪しいかも。追求する価値はあるか、、、」
「木村さん期待出来るのでは…」
こうして、僕らのペットショップでの、張り込み生活が始まる。東雲さんには直ぐに報告した。東雲さんは、大変に喜んだのは言うまでもない。
僕は実は、1台白いワゴン型の軽自動車を所有していた。事務所から離れた
僕らは駐車場に行き、久々に埃の被った車に乗り込み、店長に許可を取り、ペットショップの前に路駐して、しばらく張り込み生活を送ったのである。
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