第7話

「そんな悩みを持っているのに、ここに辿り着いたってことは、ここはあなたの悩みを払拭する場になるのかもしれないわね」

「オラ……ワタクシも、そんな気がします」

蒼の言いたいことを理解した様子の紬は、今度はチャーミーに対し、問いかけた。

「あの……さっきから、なんで一人称や語尾を言い換えてるの?」

「あぁ、この子は元々”魔法界”の中でも、田舎に住んでいた野良ネコだったのよ。だから、田舎特有のなまりと、喧嘩っ早さは未だに抜けてないの」

チャーミーの代わりに蒼が答え、当の本人は恥ずかしそうに顔を背けながら、頭をかいていた。

「”魔法界”って……?」

「アタシたち魔法使いの住む世界よ。アタシたちの間では、ここを”人間界”と呼んでいるわ」

魔法使いが存在するのだから、そんな世界が存在しても、もちろん不思議ではないけれど。

それでも、紬は驚かずにはいられなかった。

「ほ、本当にそんな世界があるの?!」

「ありますよ。オ……ワタクシたちは元々、魔法界出身ですから」

「でも、それならどうしてわざわざ人間界に来たの?」

紬の疑問に、今度は蒼が腕を組みながら真剣に答えた。

「それは……魔法界の”おきて”を果たすためよ」

「”おきて”……?」

さらに首を傾げる紬に、蒼は説明を始める。

「昔、人間界に来ていた魔法使いが怪我をしてしまったらしいの。そんな時、心優しい人間が魔法使いを助けてあげたの。その助けられた魔法使いは、実は魔法界の国王様だったのよ」

蒼の話に、紬は興味津々にうなずきながら聞いた。

「その国王が、人間の心優しさに惹かれて、”十六歳になる魔法使いは、人間界で人間に役立つことをしなければならない”っておきてを作ったのよ。まぁ、諸説あるらしいけど」

「諸説あるんかい!!」

最後の蒼の言葉には、紬は思わずツッコミを入れた。

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