邯鄲

霧這

逃げ温水(ぬるみず)の塒出(とやで)


申月さるづきの末よりも

弥涼暮いすずぐれ閏日うるうびなら剴切がいせつ

蝉羽の耳響きの中

濡れる地面と水溜りが臭い

笠木に腰下ろし

申月の槍 三十時みそどき

朝の街見下ろす

忌み看過の天泣に感謝しない

遠くでガイラルディアが

天使の喇叭ラッパ音鳴ねなれば

セピアの塔が対蹠たいせきした

瓦礫と篠突く雨

五十音の空白の

綴った稿こうが午時葵を成し

筆迹ひっせきを散らした

笹団扇のハーダンガーで覆う顔に

死化粧は徒爾とじ

目を閉じる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

邯鄲 霧這 @Sachi8hyA9sya7

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ