第十話 ガイアの疑い

 会場に入ると、自分の愚息が争っていた、ガイアは冷た視線でその様子を見る、相手はヘルニアの息子か、


「愚かだな」


 餓鬼というのはすぐに怒り出す沸点の低い生き物だ、ガイアはそう思いながら彼らを一瞥し、その場から去ろうとするが、


 自分の愚息が棒を持った瞬間、何かを感じた、


 戦場の香り、、、?


 歴戦の猛者の雰囲気が、、、!?


 あの愚息から!?


 カリアが剣を振り下げた瞬間、その一太刀から、殺気詰まった一撃が感じ取れた、しかもその一撃は、まるで歴戦の大剣使いが、相手を一撃で殺すようなものだった、


 殺人の剣、あの愚息は、一体どこでこんな物を!?


 冷や汗が垂れる、気づいた時には風魔法を酷使していた、魔力で強化した腕で掴んだが、衝撃は重い


 ガイアは笑った、


 これが、あの無能だと…?



 だが我を見た愚息は、怯えるばかりで反撃をしてこない、失望した、


 その後攻め続けるが一向に反撃の気配はない、、


 気のせいだったのか?それともたまたまか?



 国王から然りを受けたが、やはり確かめないといられない


 私が、愚息を中庭に連れ出し、さらに叩くだが、先ほどの歴戦の猛者の気配はない、






 気のせいだったか、



 失望した



 やはり愚息は愚息のままか


 私は一言残し、中庭を出て本館に行く





「父上、何故あのような無能の相手を?」



 私が家に着いて話をかけてきたのは長男ロベリクス・ユウ・ディーマリアだ


「ふっ歓迎会でアホをしたのでな、少し分からせておいたんだ」


「なるほど、でしたら僕の訓練にも付き合って欲しいのですが、」


 ロベリクスは、努力家だ、こうして父と闘い、日々強くなって行く、


「良いぞ、だが学園には遅れぬようにしなさい」


「はい」



 ロベリクスは、紺色の短い髪を揺らしながら、訓練場に走って行く



 ガイアはその後ろ姿を見てこう告げた


「あの愚息の一撃、ロベリクスすらも超えるだろうな、いや、この私も負けるかもしれない」


 そのつぶやきは、誰にも聞こえてなかった

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