第13話 私と可愛い?コロポックル

「準備はいいか?オプタテシケ山攻略を始めるぞ!」


「準備は万端だよ!私は絶対にコロポックルを式神にする!」


「めちゃめちゃ意気込んでるな」


「そりゃそうでしょ!こんな生意気なトリじゃなくて、可愛いコロポックルを私は式神にしたいんだよぉ」


「ウヌカルも準備は万端なの!抜かりはないの!」


「俺たちも出来てるが、俺のマカも氷属性だ。相性的にそこまで期待するなよ」


「もう!タライったら!皆の前で俺の女とか言わないでよ!は、恥ずかしいじゃん」


いや、俺の女と入ってないよ。くそ、いっちょ前に頬を赤らめよって!イチャこいてんじゃねーよ!羨ましいんだよ!


「ねぇ、ノブナガも私のこと俺のランって言って」


「はぁ!?別にお前は俺の所有物じゃねーだろ」


「そう言うことじゃないんだよなぁ。ノブナガは鈍感だなぁ」


「わかってる。だけどお前は俺のものじゃないだろう。お前は自由だ。そしてそんなお前が俺は好きなんだ。これでいいか?」


「うっ!」


なんなのノブナガ!超カッコいい!もう私の中ではとっくに天下人だよ!


「ふふん!うちのノブナガの方が一枚上手のようね」


「なに?それってうちのタライが負けてるとでも言いたいの?圧勝なんだけど」


「ああん!?」


「おおん!?」


「むきー!」


「むかー!」


「そういうのいいから落ち着け、バカ」


「マカもムキになるな」


「喧嘩はよくないの!」


「さっさと登るぞ。オプタテシケ山に」


ちょっと一悶着ありつつも私たちはオプタテシケ山攻略を開始した。



「ノブナガー、めちゃめちゃ寒いよー」


「そりゃ雪山なんだから当たり前だろ」


「抱き締めて温めておくれよぉ」


「バカなこと言ってないで前を見ろ。またセイレーンが来たぞ。氷系妖怪に対してはトリが一番有効なんだからしっかりやれ」


「わかってるさ!でもさぁ、セイレーンって戦国時代感を台無しにしてる気がするんだけど」


「まあ確かに蝦夷に入ってから世界観は迷走してるな。だが戦国時代の蝦夷なんて誰もわからないから、逆に開き直って外国感を出してるんじゃないか?」


「なるほど。もう異国の地として開き直って作ってるんだね」


「ちなみにセイレーンも式神として使役できるみたいだぞ」


「マジかいな!」


セイレーンを倒すと選択肢が現れた。



種族 セイレーン


スキル 幻術 氷魔法 拡声


→式神にしますか?


Yes or No




「あ、ホントだ」


うーん、でもなあ。セイレーンってなんかエロいんだよなぁ。上半身ほとんど丸出しだし。


ノブナガを誘惑しかねない。


うん、却下だな。


「おい、式神にしないつもりか?」


「え!?いやちょっとセイレーンとは音楽性の違いが、、、」


「式神に出来る妖怪はレアなんだ。いいから式神にしろ」


「でも音楽性が合わないとこれからの活動に支障が、、、」


「蝦夷は妖怪の宝庫だ。本州に戻ったら式神に出来る妖怪なんか一気に減るぞ。さっさと式神にしろ!」


「、、、わかりました」


→Yes


名前はエロスにした。


そして絶対に呼び出さないと誓った。



気を取り直して私たちは洋物っぽい妖怪、いやモンスターたちを倒しながら山頂へと進んでいった。


山頂に辿り着いたときそこには男の子と女の子二人組の小人が暢気に鍋をやっていた。


だが見た目的には完全にコロポックル。超かわいい。絶対式神にする。8桁までなら出す!


「8桁出すなよ」


「ノブナガ、なぜわかったし!」


「マジで思ってたのかよ。普通に実力で式神にしろよ。ウヌカルも手伝ってやってくれ」


「もちろんなの!がんばるの!」


「ねぇねぇコロボックルちゃーん!私の式神にならなーい?」


「はぁ!?なんだよいきなり!ウゼーなこいつ」


「お兄ちゃん、これが噂の痴女なんだよ!」


「まじかよ!こいつキメ―な」


あれ、このコロポックル全然かわいくない。


「あ、やっぱいいです」


「あっさり諦めてんじゃねーよ!この痴女が!」


「根性を見せるんだよ!」


なんだこのコロポックル。すげームカつく。


「いや、思ったよりかわいくないんで帰ります」


「ちょっと待てよ!せっかく山頂まで来たんだろ!俺たちを式神にしてみろよ!」


「諦めたらそこで試合終了なんだよ!」


「うん、試合終了したいから言ってるんだけど」


「はぁ、わかったよ。しょうがねぇなあ。毎日てっぽう汁を作ってくれるなら式神になってやってもいいぞ」


「カニは多めなんだよ!」


「カニとかゲットするのしんどいんで、やっぱり遠慮します」


「ちっ!分かったよ。ただの味噌汁でいいや。それで式神になってやるよ」


「具は多めなんだよ!」


「いやー、何か思ったのと違ったんでいいっすわー」


「ごちゃごちゃ言ってねーでさっさと式神にしろよ!もうこの寒いことしか特徴のない山に居続けるの飽きたんだよ!」


「もうとっくに飽きてるんだよ!」


「えぇ~」


どうしようかなと思ってノブナガの方を見てみる。


「さっさと式神にしろよ。そいつらがいいって言ってるんだから」


「でも、、、」


「でもなんだよ」


「あんまり可愛くない」


「そんなことどうでもいい。お前もしかしてここまで登ってきた苦労を無駄にするつもりか?」


あ、ノブナガガチな目をしてる。


「、、、わかりもうした」


「それでいいんだよ。時間取らせやがって。式神にしたならさっさと名前をつけろ!」


「わたしのもお願いするんだよ!」


こうして不本意ながらコロポックル兄妹を式神にすることになりました。



アニ


レベル 168


種族 コロポックル


スキル 氷漬け 意思疎通 呼び声




イモウト


レベル 146


種族 コロポックル


スキル 吹雪 意思疎通 福の神




詳しいことはまだわからないけどこの2人は『意思疎通』というスキルで全ての生き物と会話が可能らしい。


獣、妖怪、植物まで。


という訳で早速その能力を使ってもらった。


「ノブナガのアンちゃんが目指してる場所にはこっちの道から行ったほうがいいらしいぜ。あそこの鹿が言ってた」


「あそこのリスも言ってたんだよ!」


「という訳です」


「なるほどな。割と役に立つじゃねーか。それじゃあ最後の目的地『知床』へ向かうぞ」



*



オプタテシケ山を攻略してコロポックルズ(かわいくない)を式神にした私たちは知床に向かって進んでいた。


「ノブナガ、知床には何があるの?」


「伝説の武器があるらしい。今回一番欲しかったのはそれだ。だが海の底にあるらしい。だからお前に式神を集めさせてたんだ。式神を駆使すれば海の底にぐらいいけるだろ」


「マジ?私そのためにこの可愛くないコロポックルたちを式神にしたの?」


「ああ、そうだけど」


「私のためじゃなかったの?」


「最初から最後まで余すことなく俺のためだ」


「むきー!この自己中!天下取り!」


「という訳で獲りに行くぞ。神話級アイテム『天羽々斬』を」

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