第2話 ヤサグレ男の話②

初めてあのガキにタカった日から1週間。


しかしあのガキは、あの日依頼駅には現れなかった。



「おい、もうこうなったら学校の近くで待ち伏せしたほう早くね?」


リーダーの男がかったるそうに言う。


あの日から、俺たちは女を探すこともなければ、他のカモになりそうなガキを探すこともなかった。


皆必死に……


なぜかあのときのガキだけを探していた。



普段の俺らからすると、わざわざ学校まで出向くとかそんなダリィことは絶対あり得ない。


だけどなぜか、俺たちの足はあのガキのいる学校へと向かおうとしていた。


「え!おい!あれ!!」


その時、仲間の一人が叫んだ。


「あのガキだ!!!」


リーダーのその声を合図に、皆一斉に早足でそのガキへと近づく。



「おい兄ちゃん!!」


リーダーに声をかけられたあの日のガキは一瞬驚いた顔をしたが、またすぐに前に見せたような冷静な顔つきに戻った。


「久しぶりだな!しばらく学校に行ってなかったのか?」


「お久しぶりです。学校には毎日行ってましたよ?電車を使わなかっただけです」


「なんだよ〜探してたぜ?」



やっと見つけたことを喜ぶリーダーの顔は、普段のいいカモを見つけたときの様な悪い顔ではなかった。


心からこのガキとの再会を喜んでいるような顔だ。


「また……お金ですか……?」


さすがのガキも、リーダーの言葉に警戒したように言う。


「んー、いや、ちょっとここじゃあ話しにくいからこっち来いや」


「え?いや僕学校が……」


「いいから!来いっつたら来い!!!」


「え?ちょっと……」


抵抗しようとしたガキを下っ端二人で両脇から押さえ、そのまま駅の多目的トイレへと連行した。


これは………



普段ヤる女を連れ込むときと同じ手口だ。


初めこそ逃げる素振りをしていたが、次第にガキは案外おとなしくなっていった。



「おい1人外で誰か来ないか見張っとけ」


「鍵を長時間かけっぱなしにすると駅員に怪しまれるからな」


「定期的に鍵だけ開けるから、そのときに他の奴らがトイレを使いに来ねーか見ててくれや」



リーダーとサブリーダーの指示に一番下っ端の奴が頷き外へ出る。


途端に鍵が閉められ、多目的トイレの個室に俺ら7人とそのガキ1人が閉じ込められた。



「あの………」



さすがに怯えたような目で俺らを見回すガキ。


今にも泣きそうな声を出し、目を潤ませる。



「お前さあ、俺らに金を渡せねーなら……体で払ってもらうしかねえんだけど?」



リーダーがガキの顔に自分の顔を近づけて凄味のある声で脅す。


ガキはすぐに意味がわかったのか、さっきよりも怯えていた。


「えっ……!あの……なんで僕なんですか…体って言われても…僕男ですよ…?」



ビビってるはずなのに、何故か近づけられたリーダーから目を逸らさずに真っ直ぐに見つめながらガキが言う。


リーダーは思わず、そのガキから目を逸らす。


が、その逸した目線や表情が、まさに欲情を含んでいたのは見て明らかだった。


そして俺らも……そのガキの声に、表情に、潤んだ瞳に、久しぶりの感覚を感じていた。



「男とか女とか関係ねえ……!お前だからだよ!」


「ん?!んんんっっ!!」


リーダーは瞬時にポッケから出したハンカチをガキの口に当てる。


ガキは抵抗しようとするが、リーダーの力には敵わない。



数秒間口にハンカチを当ててると、ガキはフラフラと崩れ落ちた。



「よし、手縛れ」


リーダーの指示ですぐにガキの手を縛る。


「今のうちに服も脱がすぞ」



ガキは俺らによって服を脱がされ裸にされて、手足を縛られた状態のまま、目を覚ますまで放置された。




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