アヤと化け狸 ~ 恐怖の廃墟探検
木津根小
1
ここは、アヤが通う小学校の、6年C組の教室だ。
今日の授業と、ホームルームが終わり、みんなワイワイと言いながら、帰り支度をしていた。
「じゃあ、アヤ、わたし用事があるから、先に帰るね。」
そう言ったのは、アヤの親友であるサキだった。
「うん、気を付けてね。」
「うん。
じゃあ、タヌ助も元気でね。」
サキはそう言うと、不敵な笑みを浮かべ、アヤの手提げ袋に入っているタヌキの縫いぐるみを見て言った。
タヌキの縫いぐるみは、以前に、アヤが拾った物だった。
その中には、タヌキの霊である、タヌ助が封印されていた。
タヌ助は、生きている時に多くの悪い事をして、それに腹を立てたタヌキ大神さまによって、タヌキの縫いぐるみに封印されてしまった。
そして、タヌキ冥界から追放されたのだった。
更に、タヌ助には、最初に正体を明かした者から離れられ無くなる呪縛が掛けられていた。
そうとは知らず、タヌ助の正体を知ってしまったアヤは、タヌ助から離れる事ができなくなった。
アヤとタヌ助は、タヌ助が行った悪い事と、同じだけ『良い事』をすれば、その呪縛から解放されると考えた。
そして、日々、タヌ助の為に、アヤがして欲しい『良い事』を、タヌ助にお願いしていたのだ。
アヤの親友であるサキも、その事を知り、タヌ助の為に、して欲しい『良い事』を、お願いしていた。
アヤと違って、何故かタヌ助は、サキと馬が合わなかった。
お互いに理由は解らないが、ついつい反発し合っていたのだ。
「ええ、サキさんもお元気で。」
タヌ助は、ぶっきらぼうに言うと、ジッとサキの目を見た。
サキとタヌ助の目からは、バチバチと火花が飛び散っているように、アヤには見えた。
サキはトントンと、テンポ良く、小走りに教室を出て行った。
アヤは、教室に残ると、担任の目黒先生と数人のクラスメートと一緒に、壁に貼っている習字の半紙を外して行った。
先日、授業参観があり、それに合わせ、クラスの児童が描いた絵や、習字の半紙を、壁に張り出していたのだ。
そうして、1時間ほどかけて、教室の片づけを終えた。
「よーし、じゃあ、みんな気を付けて帰るんだぞ。」
担任の目黒先生がそう言うと、児童たちは教室を後にした。
いつもであれば、アヤはサキと一緒に帰るのだが、今日は居ないため、たまたま同じ方向へ帰る男子と一緒に歩いていた。
すると、その男子の中の一人が言った。
「なあ、この先に、幽霊が出るって噂の、建物があるの知ってるか?」
それは6年C組の、やんちゃトリオのリーダーであるショウだった。
「あっ、知ってる、この前ネット動画に上がってた、ヤツだろ。」
そう言ったのは、やんちゃトリオNo2のカズマだった。
「今から、行ってみようぜ。」
そして、決定打を打ったのが、リュウキだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます