夏祭り(お題「夏祭り」)

祭囃子に誘われて、浮かれた人々が集まる。金魚掬いに興じるのは、昔、川で溺れた男の子。リンゴ飴を売っているのは一昨年亡くなった学校の先生。屋台の向こうに表通りに、もういない誰かの声、姿が交じり、楽しげに笑い合う。その人波の中に、父がいたような気がした。瞼が熱くなる。私は走り出した。

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七月の掌編集(文披31題) tei @erikusatei

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