泡にはなれない(お題「しゅわしゅわ」)

「海の泡になって消えてしまうのが、ぼくの夢。しゅわしゅわってさ。人魚姫だよ、いいだろ」夏なのに長袖で、そこから覗く細すぎる手首に、悲しみを刻んで。痣だらけの体で。それでも目の前に立って、確かに生きている彼に、おれは言う。「お前は人間だよ」目を離さない。「泡になんてなれないさ」

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