第6話
死んだ後もこいつと絡むことになるのか。期間を決めてないが、まさか永遠にこいつと一緒なのか!? まあ、願いのリスクを考えると妥当なラインなのだろうか。
アキラ「…わかった、敗けた時の条件もそれでいい。」
神「そうかい? てっきりゴネるかと思ったんだが。」
アキラ「まあ、敗けても死ぬ事が無いというのは利点でもあるからな。」
神「よし、賭けの内容は決まりだね! それじゃあ、ルールの細かい所を詰めていこうか。」
アキラ「ああ。」
神「隠れる範囲だけど、異世界全体の内陸地で。広さでいうと大体、北海道ぐらいかな。」
アキラ「…充分広いが、異世界って聞いた後だとショボく感じてしまうな。」
神「目的ありきで創った物じゃないからね。監視するとなると、このぐらいで丁度よかったんだ。」
アキラ「範囲はわかった。それでオニが見つけるという行為はどう定義づける?」
神「これは相手が認識したらにしようかな。」
アキラ「というと?」
神「君の視界の隅っこに入っただけで見つけたとなると、隠れる側が不利だろ? 見つからない場所に隠れるって手もあるけど、それじゃあ面白く無い。」
神「だから、相手に見つけた旨を認識させたら君の勝ちだね。」
アキラ「その回数制限は何回だ?」
神「ん? 何回でもチャレンジしていいよ。」
アキラ「いいのか? 僕が有利になってしまうが?」
神「住民一人一人に試してもいいよ。ただ、君が不審者だと思われるよ。」
アキラ「……そうだな、あまり多用しないでおこう。」
確かに変質者扱いされたら下手すると牢獄行きだな。
神「僕は一向に気にしないから。それと、異世界の文化レベルは大体中世風ぐらいで君の知識量でも活躍出来る様にしといたよ。これでいつでも無双出来るね!」
アキラ「お・気・遣・い・ど・う・も!!!!」
そんな事を言われたら絶対に現代の知識なんて使ってやるもんか!
神「モンスターはどうする? 出しとく?」
その後もお互いで細かい調整を決めていた。
アキラ「止めろ! 殺す気か!?」
神「出ると喜ぶ人もいるからね。」
アキラ「結構です!!」
神「異種族は?」
アキラ「……どっちでもいい。」
本音はエルフにちょっと会ってみたい。
神「じゃあ、無しね。」
何だこいつは心でも読んだのか? かといって今更訂正するのも悔しいし。
神「言語設定は英語でいいかい?」
止めろ、こちとら英語の成績は5段階評価の3だぞ、リスニングなんて聞きとれるかも怪しい。
アキラ「さっきから微妙な嫌がらせをするな! 母国語の日本語にしてくれ。」
世界で一番多用されてる中国語を選ばない時点でこいつは、わかってて言ってるな。
神「異世界っぽい感じが出るじゃないか。」
アキラ「どちらかと言えば外国旅行に近くなるだろ。」
神「それもそうだね、じゃあ止めよう。」
今の説得が無かったら設定が英語になったのか、地味に詰んだ状況になるとこだった。
いよいよ、出発の前段階となった。
神「服とお金はサービスでつけとくよ。」
アキラ「それはどうも。」
服はまだしも、こいつの性格からして金はあまり期待出来ないな。
神「それじゃあ精々、頑張ってね。」
僕の足元に魔法陣が浮かび上がり風が吹いてきた。これが異世界転移ってやつか。
アキラ「あ、ちょっと待った。」
神「ん? まだ何かあるのかい?」
アキラ「いや、しばしの別れだから伝えとこうと思ってね。」
神「何?」
首をかしげて聞いてくる。
アキラ「僕はお前を神とは認めない。」
勝てる根拠や策は無い。けど、こいつに何か言っておきたかった。これが僕なりの宣戦布告だ。
神は一瞬、目を見開いて驚いたが、すぐにいつものニヤケ面に戻り、
神「結果を楽しみにしてるよ。」
そして、僕は浮遊した後、飛ばされた。
自殺編 ~完~
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