第13歩 ぽかぽか、ほやほや。

「おおっと」


 意外とバランス能力試されるな。青咲さんの肩に手を置きたくなる。


「爪先立ち、普段しないからか難しいですね」


「そうだな。爪先立ちは、色々なメリットがあるが、1番有名なのは血流が良くなることだろうか。足の方がぽかぽかするし、効果はありそうだな」


 確かに、足がぽかぽかする。ぼくは冷え性だから、ありがたい。


「青咲さん。これから寒くなってきますし、冷え性が改善する検証を何個かやるのはどうでしょうか」


「なるほど。でも、冷え性なやつがいないと検証がやりにくいな」


「ここにいます」


「いや、それはわかっているんだ。もう1人ぐらい欲しいな……」


 なんで、ぼくが冷え性なの知ってるんだ?本当に、どこ情報なんだよ。


「前にも言ったが、私の能力なら、君が冷え性なことぐらいすぐわかるんだ。いい加減慣れてくれ」


「今、ぼくの心と会話しましたね」


「日雀君は顔に出やすいからな……。よし、ついた」


 青咲さん、最後の赤信号で爪先立ちしないで普通に待ってたよな。頭の中、ピザなのかな。







「出来立てほやほやだ。日雀君。そこの公園で食べよう!」


「いぶきはどうするんですか?」


「なっ!……いっ、1枚ずつぐらいなら、ここで食べて、いぶき君は怒らないと思うんだ。よし、食べよう」


「だめです。帰りますよ」


「意地悪だ!」


 歩いたら冷める!と言い続けるから、仕方なくタクシーで帰った。タクシーの運転手さんに見つからないように、ピザを食べようと箱を開けようとしたので、家に帰るまでぼくがピザを持って帰った。こんなにピザが好きな人、初めて会ったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る