秋海棠ダイアリー

斉宮 一季 / 高月院 四葩

Day1 黄昏

 時は黄昏。雨の匂いと、夕闇まで赤く赤く染まる夕暮れが空っぽの私を夜へと誘う。

 一日の終わり。

 夕焼けに「終わり」があるように、私にも「終わり」がある。それは必ずやってくるもので、この手で終わらせることもできる。

 私は濡れた髪をそのままにして、ビルの屋上から夕暮れを眺めている。

 選択を委ねられた手で太陽を隠しながら、小さく呟いた。

「もう少し、見ていようかな」

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