№_4 Coming Home .(ただいま。)

 俺は関越自動車道をひたすら北進していた。汗が頬を伝う…200万円。決して安い金額ではない。だが、今日中に200万円を受け取らないとマズい。何としても母に用立ててもらう必要がある。


 車のハンドルを握りつつ、俺は右足のアクセルに力を入れた。


 思えば、仕事だけを優先して、実家の母のことを考えたことはなかった。俺は結婚してないし、週末は疲れ果てて自宅マンションで「だらーん」としている生活。俺が18のときに父さんが急死し、それ以降、母さんの仕送りで大学まで行かせてもらった。でも、母さんに恩返ししたことなんて一度もない。そもそも、就職して以来、実家に帰ったことは5年前のお盆と正月が最後だったと思う。


 気が付くと、俺は泣いていた。母さん…ゴメンな。今回は母さん、あなたのお蔭で、何とかトラブルを回避できそうだ。これからは、親孝行するよ。


 運転すること1時間30分、懐かしい実家が見えてきた。

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