正体不明の侵略者によって滅ぼされた世界、オアシスの大きな宿の一人娘と、それを救ったとある少年のお話。
滅びゆく世界で戦う人々の姿を描いた、ポストアポカリプスSFです。
ハードボイルド、と言ってしまうとたぶん語弊しかないんですけど、生存環境があまりにシビアすぎて、ハードな生き方をせざるを得ない人々の物語。
敵と戦う戦士たちと、それを支える人々。
強大な敵に対抗するための、かなりはっきりした社会的な役割分担と、それぞれの自負や生き様のようなものがとても印象的です。
普通の現代とは異なる、「ここではないどこか別の社会」を体験させてくれる、このSFらしい味わいがとても素敵でした。
環境そのものはかなりしんどいんですけど、でもそのわりにコミカルな展開(特に中盤など)もまた魅力的。
なんだったら物語の主軸はおねショタラブストーリーみたいなところもあって、この話の幅の広さというか太さというか、ただ戦いだけに的を絞らない感じがとても好きだったりします。
荒廃した世界によく映える、まさに「人が生きていく様子」を描いたお話でした。