三・一〇

 ショックのあまり、目を覚ましたようなものだった。


 また失敗だ。

 また死んでしまった。


 何故だ。

 きっとあの時手を離したのがいけなかったのだ。今度は片時も離れぬようにしよう。


 そうして僕は一日中栞のそばにいることにした。

 邪魔しようものなら飢えた獣の如き鋭い眼光を向け、先生にすら手出しはさせなかった。今度はちゃんと同じ学校だったから簡単だった。栞は随分と困惑していたが、構ってはいられなかった。何せ彼女の命がかかっているのだ。三度も失敗して、これ以上同じ轍を踏むわけにはいかない。僕の意思は固かった。


 ——体育の授業は盲点だった。


 水泳の授業中、プール中央の水底であおむけの状態でいるのが発見された。溺死だった。

 また守れなかった。


 もう一度。

 視界がブラックアウト。

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