第十一話
書類仕事が片付いたのは、午後九時を回った後だ。もう少し書類が増えるかもしれないが、大部分は片付け終わった。
「ただいま」
明善はへとへとな体を引き摺りながら、署近くに借りているアパートに帰宅した。途中で購入したコンビニ弁当が入った袋をテーブルに置き、浴室に直行。髪を洗い、湯に肩まで浸かる。
「ふい〜」
肺の空気をゆっくりと吐き出す。我ながらジジイ臭いと思いながらも、風呂の癒しを堪能する。明善は目を閉じ、黙考。
ノーブスの件でここ数日は、捜査が忙しく残業ばかりだった。特に今日はノーブスの事後処理に、女子高生我妻の行方の捜査。まさに目が回る一日だった。異犯対に配属されてから最も忙しい日だっただろう。
明善は湯船に浸かりながら、ゆっくりと船を漕ぐ。
「あー、いかんいかん」
疲れと風呂の気持ちよさから、つい睡魔に負けそうになる。浴槽で溺死するのは御免だと、風呂から上がる。ドライヤーで髪を乾かした後リビングへ。今日の夕食はコンビニで購入した割引の弁当。夕食を作るだけの気力と時間は残っていない。弁当を食べ終わった後は、食後のコーヒーを飲みながら、テレビを適当に眺める。バラエティ番組の芸人のギャグに笑い、ふと時計を見ると日を跨ごうとしていた。
我妻の件でまた忙しくなりそうだ。ここは夜更かしせず早めに寝て、明日に備えよう。
明善は歯磨きを終え、寝室の布団に潜り込む。
布団の中で目を閉じると、疲れからすぐに意識が霞んでいく。
明日からまた頑張ろう。少女を見つけて、アルミトスの企みを防ぎ、彼女を親や友人達の元に返す。
明善はそう誓い、そして意識を闇の中に手放した。
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