部屋の中

あさって彼女がやってくる

何かを引き連れて

きっとそれは僕の知らないもの

だから部屋のテーブルの上に

煙草を並べて

本数を数えた

これから地震がやってくるかもしれない

窓の外の光がカーテンの隙間から差し込んでいる

この部屋は薄暗い

煙草の煙が憂鬱を溶かすことができれば

僕はもう少し落ち着いて

彼女を招きいれることができるだろう

とりあえず僕は手帳の中に

無意味な数字を書き込んだ

些細な物音が

ここでは致命傷に感じるのは

傷ついたものが

もう一度再生を試みているのかもしれない

あの目を見た時に

僕はどこか安心していたところがあった

初めて話をしたとき

彼女は冷たかった

僕は何か悪いことをしていたのか

今ではわからない

部屋の静寂の中に

車の音が響く

いったい世界はどこへ向かうのか

テレビでは今日起きたことが

しきりに流れているが

僕は別のことを考えていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る