自分を主人公と思っている男の日常

永峰美海

俺に主人公補正が全くない件

あなたは自分がアニメの主人公だったらと考えたことはありませんか?

とある町に本気で自分を主人公と思いこんでいる1人の男がいた。

その名も「八神 一新」

一新は高校1年生の男子である。これはとある男の日常である。


「今日も一日頑張るかー」

一新は朝からそのようなことを言い、歩いて学校まで登校をする


「そろそろ美少女から声をかけられてラブコメ展開来るんじゃないの?」


一新は自分をアニメの主人公と考えており、常にこのようなありえないことに期待をしているのだ。


何事もなかったかのように、学校に到着する。

「まだラブコメ展開は早いか」

そういう風に考えてはいるが強がりである。

(なぜ来ない?負け主人公なのか?)

そういう風にも考えが出るのだがすぐにこう思う。

(失敗する主人公なんてそんなに居ないさ)

こいつは厄介なことに"スーパーポジティブ"なのだ。


クラスに入るとモブキャラがぞろぞろと入ってくる。

一新の中でのヒロイン候補は花園 美波と高坂 愛心である。


一新は毎朝その2人に声をかけられないかと満を持して待っているのである、


すると

「八神くん」

と花園 美波が声をかけてきた。

(ついにラブコメ展開きたー)


そんな考えも虚しく

「今日の日直よろしく」

「ああ、よろしく」


(何をガッカリしているんだ俺。まだ同じ仕事になった時点でまだ可能性はある)


そうも言ったものの、俺は黒板消し、花園は日誌を書くという仕事内容になったのでほぼ同じ仕事をしているという感覚がない。

(あれ?想像と違うな。こういう場合はラッキースケベとかあるもんじゃないのか)


そんな期待も虚しく、何もないまま放課後になった。


俺はサッカー部に所属している。

放課後になると、ユニフォームに着替えた。


俺はまだ1年生のため、試合にこそ出れないが1年生にしてはかなり上手い方だ。

実際中学生の時も県大会で準優勝に貢献できるほどだ。

「練習を開始するぞ。1年は外周を走っておけ」


そう言われたので1年生は不満を垂らしながらも真面目に取り組む。外周を4週したあたりで招集がかかった。

ちなみに外周は1周1.5kmとかなりあり、1年生はみんな息が切れている。


ただポジティブな一新は周りの女子を探していた。

(居ないか)


その日はすぐに解散をしたので一新はすぐさま準備をする。


なんの準備かと言うと異世界に行く準備である。


夜遅くになると、家を出てコンビニに行くとすぐさま立ち読みを始めた。一新が見たアニメの中の異世界に行ったシーンを再現しているのだ。

(俺も主人公行けないわけがない)

と考えもしたが、行けるはずもなくすぐに引き返した。

この日も特に主人公らしいところはなく1日を終えるのであった。

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