また来年と言う

社畜オンパレード

焦げたスクランブルエッグとウィンナー

 「朝6時になりました。町役場から定時の放送です。今日の最高気温は35度となる見込みです。外で作業を行うおこなう方は、水分補給や休憩をしてください。これで朝の定時放送を終わります」


 その日僕はセミの鳴き声で起きた。洗面所で顔を洗いながら今日何をしようか考える。母は町役場で働いている朝の定時放送も兼ねているためいつも朝早くからいない。

 テーブルの上には焦げたスクランブルエッグとウィンナーがラップ掛けされていた。乏しいと思いパンを焼く。その間ニュースでも見ようと思いテレビをつける。

「おはようございます。朝7時のニュースです。」

 いつもと同じキャスターが現れ、黙々と原稿を読んでいる。

「今日のニュースはこちら、今朝外務大臣はカナダに到着し…」

 チンッ

 パンが焼けたようだ。皿に移し、牛乳を入れ食べる。

「いただきます」

「続いてのニュースです。昨日アマゾン熱帯雨林で新種の…」

 いつからだろうか、朝ごはんを一人で食べるようになったのは…

 そう考えると、母の辛さや大変さがわかる。なんてことを思いながら食す。

「ごちそうさま」

 洗い物を済まし、洗濯物を干しに出る。

 ミーンッミーンッ

 太陽が照りつけ、セミの鳴き声が聞こえてくる。洗濯の量が少なくいつも助かっている。まぁこんな事を思うのは僕ぐらいだろう。

 ふと空を見上げていると、くっきりとひこうき雲が見えた。目で追ってみると先には飛行機が、ひこうき雲を作っていた。そうしているうちに、時間はすっかり9時半になっていた。

 少し休憩をし、掃除を始める。あいにく掃除機は昨日壊したので、残念ながら、学校へ持っていけなかった雑巾で床を拭く。まるで神が与えた試練のようなものだ、僕が起こした過ちの代償に父を失い、学校にも行けない。母は、朝から仕事をする羽目になった。何度も何度も償おうとした。しかし世間や周りは僕の償いも見ようとせず、距離を置くようになった。これまで紡いできた、友達の縁や社会的地位をあの日、あの瞬間、失った。今頃学校では、僕の席なんか撤去されみんな清々しいだろな。

 僕は何をしているんだ、半年以上も前のことを思い返して…

 いけない、集中しなければ。

 雑巾がけも終わり、母に頼まれていた手紙を近所のポストに投函しに行かなくてはならない。

「続いてのニュースは、半年前に起きた…」

 ブッチッ

 急いで、テレビを切る。またあの記憶が蘇ってきてしまう。

 ここまで築いてきた、のに今度こそは潰さないようにしなければ…


 靴を履き、またあの太陽が照りつける外にでなければならない。さっさと入れて、寝ようと思い、急いで入れて帰宅する。

 ソファーで横になって。そのまま寝てしまった…

 気づくと時間は夕方の6時だった。キッチンの方へ目を向けると母が帰ってきており、黙々とご飯を作っていた。

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