楽園の中、≪蛇≫に見守られて暮らすイヴとイヴ、そして他のつがいたちのお話。
これぞSF、といった趣の、堂々たるSF短編です。
単純な設定面はもちろんのこと、中盤あたりの展開の「ある種の思考実験的な楽しみ」がまさにSFと言った味わいで、モリモリ興味を引かれながら読みました。
設定周りの、はっきりと説明され切らないところがとても好きです。
いや、はっきりどころかほとんど明かされないままなのですけれど、でも大まかなところは「きっとこういうことなんだろう」とわかってしまう、この感じがとても好き。
語り部たるイヴの視点で進む物語としての説得力と、なのに同時に世界のありようを(ある程度)想像させてくれるところ。
とても楽しく読みました。
イヴとイヴ、同じもの同士でつがうことと、それが当たり前の感覚。
そしてそこに加えられた変化と、そのもたらしたもの。
興味や好奇心のツボをくすぐられる物語でした。