第15話 14週目
彼女に会わないまま、気づけば3週間が経った。11月になり、木の葉が死を確信する頃合いである。肌寒くなり、厚めのジャンパーが手放せなくなった。俺はいつものように通院を終えそのまま家へと向かった。帰宅途中、ちょうど交差点を渡り切ったころ、叶汰から1件の着信があった。『真結が会いたがってる』というメッセージに、ベッドにぐったりと寝ている広崎さんの写真が添えられていた。
「勝手すぎるだろ」
俺はスマホを閉じた。だけど、自然と俺の心は病院の方へ向かっていた。広崎さんに会いたいその一心で、俺は再び交差点を渡った。
彼女の病室へ着くと、彼女は既に目を覚ましていた。
「陽介さん、お久しぶりですね」
酸素マスクをつけているせいか、彼女の声はか細く聞こえた。
「体調は…大丈夫ですか?」
「ちょっと大丈夫じゃないですね」
彼女は笑っているけれど、いつも弱音なんて吐かない彼女が「大丈夫じゃない」と言っているのだから、きっと相当辛いのだろう。
「でも陽介さんが来てくれて、少し元気になれました」
弱々しく笑う彼女を見て、俺の胸は締め付けられるように苦しくなった。
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