第35話 増える、転移先

まぁ増えてること増えてること、異世界への扉が。


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<転移先>

1_地球(魔法無効化)

2_惑星クラセリア(スキル獲得)

3_惑星エムベス(ダンジョン)

4_惑星アトランザ(割り振りステータス獲得)

5_惑星クミン(種族変更獲得)new!

6_惑星ストリーム(古代文明)new!

7_惑星ジャキンガル(固有魔法獲得)new!

8_惑星ヴィオス(獣化獲得)new!

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行ってみたいかはともかくとして、異世界人て言うのはどうして俺らを都合の良い存在だと思うのだろう?

低コストで回せるガチャじゃねーんだぞ!

こっちだって必死に生きてるんですよ? 消耗品扱いは勘弁願いたい限りだわ。


木村曰く、割り振りステータス世界は割と当たりで、大外れが古代文明らしい。

突如迷い込んだ世界で生きるか死ぬかのサバイバルを強いられるとかで赤城さんは現地住民に捕まって生贄にされる一歩手前だったとかなんとか。


特にこれといった能力は与えられないが、敵を倒すことでオーバーテクノロジーな武器を貰えるとかで、戦うのが好きな人には向くが非戦闘員の彼女には過酷すぎたんだろう。

彼女のスキルは『アイドル』で、ファンになってくれた相手に一つまでお願いを聞いてもらえる程度のものだ。しかしエルフ化したことによりその規模を拡大!


クラスのマドンナは学園のマドンナになり、お願いを行使できる数を日々増やしている。

ちなみにファンとは離れ離れになったので誰も守ってくれなかったらしい。

オタサーの姫かな?

どちらにせよ俺には関係のないことではあるが、まぁクラスメイトのよしみで助けたことに意味はあったな。


問題はその後だ。

彼女は俺のストーカーと化した。

普段は俺にそっけない彼女だが、何をやっても振り向かない俺に対してなんとか振り向かせようとファンを使って一芝居を打ってくる。

まぁ転移と入れ替えで返り討ちにしてやったが。

問題ななんで俺にそこまで執着するのかだ。

命が助かったんならそれでいいじゃんか。せっかく助けた命、大事に使って欲しいものだ。


「赤城さん、好意は嬉しいけど俺には彼女がいるんで」

「またまたー。いくら積んだのか知らないけど笹島さんは男子人気高いのよ? まぁ私ほどじゃないけど磯貝君が落とせる相手じゃないわ。ここはわたしで手を打っておきなさいって、ね?」


何を基準に誇っているのか。

人の魅力なんて惚れた人数で推しはかれるもんじゃねーだろ。

モテすぎて距離感バグってんのか?

そこに彼女である美玲がやってくる。まだやってたのかと言わん顔だ。


「なぁ美玲、この人なんとかして」

「あっくん、あたしが言ってなんとかなる人だと思う?」

「笹島さんまで磯貝君に配慮して、そんな真似するんだ?」

「赤城さんはなんでまた俺なんかにそんなに執着するんですかねぇ?」

「……」


急に無視ですよ。ほんとこの人ワカンねぇな。


「名前で呼んで。名前で呼んでくれなきゃ返事しないから」

「彼女でもない人相手にそれは許されんでしょ」

「笹島さんは呼べるのに私には無理と?」

「あっくんはあたしの彼氏だから!」

「そうだぞ、人の恋路にこれ以上介入してくるなら俺たちもいつまでも黙って居られないからな?」

「そう、わかったわ。私はみんなのアイドルに戻ることにする。でも廃業することは伝えなくちゃ、磯貝君に振られたからだって」


ニヤリと意味深な笑みを浮かべる赤城さん。

こんなキャラだったっけ?

ヒロインにしたい女子No. 1が幻想だったと発覚した瞬間だった。


「はぁ〜〜」


なんか今日一日どっと疲れた。


「おつかれ様、あっくん。赤城さんも本当はあんな子じゃないのよ? 色々メンタルがおかしいのは日常に戻って来れた揺り戻しもあるんだと思うな」

「そりゃわかるけどさ、でもそれを突きつけられる俺はやるせないよ」


日本人同士で争うなんて無益なことは極力したくないもんだ。

いっそまとめて惑星ストリーム送りにするか?

そんな考えすら脳裏によぎる。

それをしたらしたで俺は殺人幇助で捕まりそうだ。


野蛮な原住民が住み着く場所に置き去りにしたなんて周囲に知れたら外聞が悪い。美玲のお袋さんからも縁を切れとか言われかねないな。


クラスは昔に比べてそれぞれの結束力がより強くなったのを通過する。スキルの影響か、それとも同じ境遇で生き残った影響か。

どちらにせよつまらない学園生活ではない。


忙しすぎて目が回るのだけは勘弁して未来とこだけどな。


と、言うことで一度クラスメイトを誘って例の惑星ストリームに赴くことにした。授業でな、どこに行きたいかと言われた時にここが第一候補に上がった。

赤城さんは反対してたけど、ファンの影響力は授業にまでは及ばない。クラスメイトの全員がファンになってるわけじゃないからな。

彼女の魅力は異性、それもモテない男に特化している。

生まれた時から勝ち組だった奴や、スキルを得て異世界でブイブイ言わせてたクラスの奴らには通用しなかった。


以前までなら俺にも通用したが、今は何よりも大切なものができたのでそっちを優先する。当たり前だよなぁ?


そしてクラスメイトの勇姿を見て自分を守ってくれる相手はこの人しかいない! そう思わせれば勝ちである。

案の定、田所の勇姿に惚れ込んで無事ゴールイン。


今度は田所がファンに付き纏われることになったが、赤城さんが先制したりしてその状況も含めて楽しんでるようだ。

むしろ消し掛けてるの赤城さんじゃね? と思わなくもない。


古代文明で入手したオーバーテクノロジー、オーパーツは、その世界特有の元素が必要らしく、その力をチャージしないと使えないらしい。


でもそれをなんとかしちゃうのが俺の彼女のすごいところ。


「あ、これ私のスキルで補填できるよ」

「これは軍事利用待ったなし」

「美玲ありきの武器なんて滅んでしまえ!」

「そういう意味ではお前らはどこに行っても必要とされるカップルだよなぁ」

「そんな嬉しくない褒め言葉はごめん被るね!」

「あははー、あたしもパス」


こうやって俺たちは更なる武器を入手して、自衛に備えた。

それに引き寄せられるようにして新たな侵略者が来訪するのを予期していたように……

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