第100話:エピローグ
イシェリカさんがイ=ス=ファエルさんと元の世界に帰った後、
お店からも近く、古いと言っても数年前に内外装の改修を行なっていて古さは感じない。けど、やっぱり、あの賑やかな日々を思うと寂しくなる。
ある日、家の前で鳴く仔猫を保護した。
右前足の先が白い琥珀色の瞳をした黒猫『るな』と名付けた。
亮司の家で『れを』と触れ合っていたからだろうか、それとも一人でいるのが寂しくて飼う事にしたのか、そこは分からないけど同居人が出来た。
好奇心旺盛な『るな』は完全室内飼いにする事を勧められた。
奥の釣り具部屋には入れないようと亮司から言われた。『ラインを齧るし、針があるから釣り具部屋には入れるなよ』と。
『るな』が固形のご飯を食べられるようになってから、亮司の家を訪ねてみた。
キャリーバッグ内の『るな』に興味を持った『れを』が中を覗いている。
「『るな』を出してもいいぞ。『れを』のその様子だったら、喧嘩することもないと思うから」
「じゃあ、ちょっと出してみようか。『るな』出ておいで〜」
周りを伺いながら出てくると目の前にいる『れを』に両前足を広げて襲い掛かった。
「おおっ、元気だな」
「すっごい、興奮してる」
「かわいいね」
『れを』はお腹を上にして『るな』を誘っている。遊んでくれるんだね。
私達は暫く猫達を眺めて和む。
「咲喜さん、なんか表情が穏やかな感じになったけど良い事あった?」
「うん、まだ安定期になってないから亮二以外には言ってないんだけどね」
「おめでた?」
「うん、そうだよ」
「おめでとう。亮司もお父さんになるんだね」
「まだ、実感がないけどな」
「これから実感が湧いてくるよ〜、しっかりね、お父さん」
「分かってるよ、揶揄うなよ」
「いいなあ〜、私も彼氏欲しいなあ」
「今度は、しっかり相手を見ろよ」
「そこは、実感したから、絶対気をつける」
「そうだよ〜」
戯れ合う猫達を眺めてみんなで笑い合う。来年には亮司と咲喜さんの間に子供が生まれる。私にも出会いがあるといいなあ。
こういう日常が続いてゆく事を私達は願っている。
ずっと、ずっと続く事を……
そして、いつの日か、あの世界にいる友人との再会を願っている……
====================================
ここまでお読み頂き有難うございます。
初めて投稿したこのお話しも完結をむかえました。
至らないところも多々あったと思います。
本当はもっとイシェリカに旅をして欲しいという想いもありました。
それでもここで一区切りと致します。
改めて、有難うございました。
PS.
閑話に加筆修正した 冒険者カトラスの受難 を投稿しています。
宜しければ読んで見て下さい。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556622645671/episodes/16817139556622657171
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます