閑話 横山春乃①
私の名前は
現在高校3年生のjkです。
高校生と言えばよく、人生で最も青春を謳歌できる瞬間と言われています。
アルバイト、部活動、それに友達や恋人など……時間が過ぎていくのが早いと感じることでしょう。
そんな青春真っ只中な私ですが、現在悩みがあります。
それは――――彼氏が出来た事が無い、ということです。もっと言えば処女だということです。
原因は自分の顔にあります。つまり不細工なのです。
幼稚園、小、中、高と過ごしてきた中で、男子にモテたことは一度もありません。
しかしかといって、ものすごく不細工というわけではありませんでした。
そのため幸いにも男女ともに沢山の友達が居たことでボッチなどの寂しい思いはしてきませんでした。
私としては身を弁えていたので、クラスの可愛い子が男子にモテモテでも醜い嫉妬などはありませんでした。
――羨ましいとは思いましたけど。
しかしそんな考えは中学生になったとき一転しました。
そうです。性欲が出てきたのです。
それまで――それこそ小学生の頃は仲いい男女が付き合いだしたという話を聞いても「楽しそう」くらいにしか思ってなかった私ですが、中学生になると男女が付き合って性行為をしたという話を耳にするようになりました。
当時私は性欲を覚えたことで、毎日のようにカッコいい同級生をおかずに自慰行為をしていました。
そしてそれだけでは物足りなくなると私はネットでAVなどのアダルト動画やイケメンモデルのグラビア画像をおかずに自慰行為をするようになっていきました。
聞けば周りの友達も同じような事をしているので特に不満も無く休み時間におかずについて語り合ったりしました。
――しかし、そんな時です。友達から知り合いが彼氏と性行為をしたと聞いたのは。
私はこれまでの生活や保健の授業などで、男子は女子ほど性的なことに興味が無いということを理解していました。そのためまさに青天の霹靂でした。
やはり私だって好きな人がいたわけで、その話を聞いてから私は男子を性的な目で見るようになりました。
いや、私だけではありません。中学生になって暫くすると、女子のほぼ全員が男子をそういった対象として見るようになっていきました。……もちろんバレないように。
あるときは運動部の男子のユニフォームから覗く脚や腕。
そしてまたあるときは水泳の授業で着る水着姿など。
特に水着に関してはお目当ての男子をじっくり見るためによく見学をしていたのを覚えています。
水着は身体のラインがきちんと出ているため、目に焼き付けていました。
そんな生活をして過ごしていく中で私は自分がモテないことを自覚していたので、モテる友人や知り合いに彼氏との性行為について聞いたり(彼氏が拒絶してきたのが殆ど)、さりげないボディータッチをしていました。
そして時が経って現在。
高校3年生の私は結局今まで一度も経験の無い処女のままでした。
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始めたきっかけは何だったのか、それはよく覚えていません。
友達から聞いたのかネットで見たのか、それこそライトノベルの影響か。
今となってはどうでもいいことですが、私はその作成済みの裏アカを使って久々にSNSで遊び(性的な)相手を探していました。
まあ大抵はサクラやからかい目的の人が多いので、返信が来たりましてや実際に会って性行為を行えたことなんてありませんが。
いつものように「性行為したいなー」なんて暇つぶし半分本気半分でその相手を探しているときでした。彼――ゆうき君に出会ったは。
「え、何この人……凄くカッコいい……」
最早言葉で言い表せないほどのイケメン。
黒髪黒目で同い年くらいの男性。本当に同じ日本人なのか怪しくなるほどに顔面偏差値が違いました。
「しかも……どう見てもサクラじゃなさそう……」
きちんと設定された個人情報にその他の投稿。
そして何より複数枚撮られた自撮り画像。
そのどれもがこれまで幾度となく経験してきたサクラセンサーに反応しませんでした。
――つまりこれは
「本物……?? ――っ! メッセージ送らないと!!それにいいねも!」
よく見ると一番最初の投稿に「気になったらここにメッセージをください」と書かれている投稿があありました。
そしてどうやら他の人のメッセージも見れるらしく、既にそこには数え切れないほどのメッセージがありました。
「完全に出遅れた……。こんなチャンス二度と無いのに! 私のバカ!!」
別段先着順とは書いていないものの彼に通知が行くのは最初の人からでしょう。
なので先に彼の目に留まりやすいのは必然的に早くメッセージを送った人になることくらい予測出来ます。
「それに……可愛い子も沢山居るし」
どんな人がメッセージを送ったのか、そのプロフィールを見ていくと彼氏がいてもおかしくない様な人が沢山居ました。……やはりそういった人から見ても彼はカッコいいのでしょう。
「はぁ……」
何故もっと早くSNSを見なかったのか、その後悔の念が尽きません。
――ぴこん。
とその時でした。
「え……?嘘……」
彼からのダイレクトメッセージが来たのは。
私はそれから暫く自分の妄想による見間違えかと思い何度も見直しました。
ついに願望が現実の認識を上回ったのかと。
しかしそれが変化することはありませんでした。
つまり見間違えではありませんでした。頬もつねりました。
「……」
そこからはよく覚えていません。
しかし私はどうやら彼――ゆうき君と明日デートをすることになったようです。
――え?
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