第8話 デート③


 

 「改めて……すみませんでした!!」


 「いや、確かに疲れたけど大丈夫だから!俺も楽しかったし!」


 

 現在、俺たちは夕食を食べるためにカフェにいた。

 というのも、あれから色々あって疲れたのと既に18時過ぎなので夕食兼休憩をすることにしたからだ。

 

 そして目の前にいる彼女、はるのちゃんが何故俺に謝罪をしているかと言えばその色々が関係していた。


 

 つまりあの洋服店での出来事


 試着 → 周りの客等が集まる → ファッションショー開催 → お店がスポンサーになった(紹介した服は貰えることになった)のでリアルファッションショー開催 → 俺が着た服が男女ともにバカ売れ → お店大混雑 →  俺たち撤退


 

 というわけだ。


 本来なら二人でゆっくりと楽しく買い物をする予定だったのだが気付けばそれが不可能になっていた。

 どうにもそれで責任を感じたようだ。

 


 「服もただで貰えちゃったから良かったよ! だから気にしないで!」


 「は、はい……ありがとうございます!」


 「それに……今日は色々と店を回ったり出来て楽しかったよ!」


 「……はい!そうですね!  私は特にあの店の――」


 


 今日あった出来事を話しつつ夕食を取る。

 

 俺がこのショッピングモールに初めて来たということもあり、雑貨店や本屋など洋服店以外にもまわっていたのだ。……まあ思いのほか広くて全部は行けなかったが。

 

 今度機会があればまたはるのちゃんや月乃瀬さんなどの美少女と来たいと思った。

 

 

 


 30分後。



 

 

 「うーん……じゃあ次はどうしよっか? 」


 「……どうしますか?」


 

 夕食を食べ終え食後の休憩をしている俺たちは今後の予定について話していた。

 

 既に外は暗くなってきており解散するか別のどこかに行くのかという話だ。

 俺としては美少女とのデートを終わりたくない気持ちが強いけど、はるのちゃんに用事があるならしょうが無いし門限だってあるだろう。


 ――まあ本音は裏アカを始めた目的である美少女との性行為だけど。

 つまりはその……、この後凄く期待してます。


 ――それに彼女は今日ミニスカートを履いていたことによってデート中も脚に目が行っちゃうから俺の理性が厳しかったのだ! 彼女はわかっているのだろうか!自分の御御脚おみあしが如何に私の性欲を刺激するのかを! ……もし計算していたのならかなりの策士ですね。 



 「…………」


 「…………」



 とは言えここは貞操逆転世界。つまりは女性の性欲が強い世界な訳で……。確信は持てないが十中八九彼女もこの後の展開を期待しているような気がするのだ。だってさっきからソワソワしているし。



 「……」


 「……」



 やはりここは男である俺が誘うべきなのだろうか。いや、本来ならこの世界の常識的に言うと女性が誘うのが一般的なんだけどね?ただどうにも緊張しているみたいだし何より俺が彼女の立場だったら美少女にお誘いされた方が興奮するでしょ?


 と言うわけで誘うことにした。今世では欲望に素直に生きると決めたのだ。

 ……下半身思考とも言う。

 


「「あ、あの!」」


 同時に声を上げる俺と彼女。仲いいのでは?付き合っちゃう?

 

 それに、同時ということは彼女も俺と同じ思考回路をしていたということだろう。

 ……なんてエッチなんだ!けしからん!


 

「あ、ごめん、先いいよ?」


「あ、いえいえ! 先にどうぞ!」


「……」


「……」


「あ、じゃあ俺からいいかな?」


「はい!」

 


 エッチ上等!ここは男を見せるぞ!



 「えっと、じゃあ…………ホテルに行こっか?」


 「はい!…………え?!」



 その瞬間、店の中が静まりかえったような気がした。それも嵐の前触れかのように。

 どことなく、いやとてつもなく周りから視線を感じるような気がするが無視無視。

 

 一方、向かいの席を見るとはるのちゃんが顔を真っ赤に染めて俯いていた。

 

 俺は直ぐさま代金を支払うとはるのちゃんと共に脱皮の如く店を出た。それはもう風のように。

 つい考えていたことがそのまま口に出てしまったようだ。…………て、てへぺろっ。



 

 ………………


 

 …………

 

 

 ……


 

 

 「えっ……今――」



 「「「――ホテルって言った?!」」」


 


 ――その後直ぐ、店の方からそんな声が聞こえたような気がした。

 



  

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