第6話 デート①



 デート当日。

 

 俺は待ち合わせの30分前に集合予定の○○駅に来ていた。

 この駅は俺の家から徒歩圏内にあり商業施設や飲食店などが所狭しと広がっているためこれからもよく使用することになるだろう。


 

 「予定よりも大分早かったかな……」


 

 そんなことを考えつつ俺はスマホでSNSを開くと、そこには今日のデート相手であるはるのちゃんからのメッセージが届いていた。



 『もう着いちゃいました!えへへ』


 『今は駅前の広場にいます! 服は上が白のシャツで下はチェックのミニスカートを着ています!』



 どうやら逸ったのは俺だけでは無かったようだ。楽しみにしてくれたようで嬉しい。

 それにミニスカートって事は気合い入れてきてくれたのかな? 脚フェチの俺としては大歓迎だよ!!



 『俺も今駅に着いたよ!』


 『少し待っててね!』



 そう返信すると、俺は急ぎ足で改札を通り抜け駅前の広場に向かった。


 


 

####################################




「あっ、もしかしてはるのちゃん?」


 数分後、駅前の広場に到着した俺ははるのちゃんらしき人物を見つけて声をかけていた。

 そこにはSNSの写真の通り黒髪ロングで色白、そしてミニスカートをはいている美少女がいた。


 

「は、はい……もしかしてゆうき君ですか……?」


「うんそうだよ! 今日はよろしくね!」


 

 俺の顔を見て驚いた反応を見せた後、彼女は目線を逸らしながらもそう答えた。

 彼女の顔は元の白さも相まってか遠目からもわかるほどに赤くなっていた。

 

 どうやらこの反応を見るに月乃瀬さんを疑った訳じゃ無いが、俺は客観的に見てかなりのイケメンだとわかった。

 流石に一人の意見だけを鵜呑みにするほどバカじゃ無いからね。つまりこれで確信を持てたってわけよ。


 

 「えっと……服とても似合ってて可愛いよ」


 「ほ、本当ですか! よかったです! ……ボソボソ……頑張った甲斐があったよ!!」



 ここで俺は前世ではイケメンじゃないとセクハラ扱いされたであろう相手の服装を褒めるということを実行した。

 

 

 ――前世の時は時は辛かった……。軽いコミュニケーションのつもりで服装を褒めただけなのに周りから向けられた冷たい視線の数々。あれほど容姿で理不尽を感じたことは無かった。


 

 それに対して今世は、はるのちゃんは凄く喜んでくれた。

 

 人間顔は大事なんだなと改めて確認できたよね。……まあ今の俺では関係の無い話だけどな!


 

 「うん……とっても可愛いと思う! もちろんはるのちゃん自身もね!」


 「っ!! あ、ありがとう……ございます。 で、ですが! ゆうき君の方がカッコいいですよ! ビックリしちゃいましたから!」


 「そ、そう? ありがとう! でもはるのちゃんだって可愛いからね?! ……正直めっちゃタイプなんだよね」


 「……」


 「……」


 「は、はるのちゃん……?」


 「は、はいいいいぃぃ!!」


 「だ、大丈夫? ……ごめんね急に、何言ってんだろうね俺……あはは」



 思わず本音が出てしまった。これじゃあまるで口説いてるみたいだろう。

 初対面でいきなり女性を口説く俺って……めっちゃビッチ感凄いな。いや、ビッチ目指しているわけだけど。


 

 「あっ……ご、ごめんなさい。驚いちゃって。 」


 「いや、大丈夫だよ! 俺こそごめんね変なこと言って」


 「い、いえ! 嬉しかった……です。私男性にそう言って貰ったの初めてだったので」



 はるのちゃんはそう言って嬉しそうに笑ってくれた。

 そしてそれを見て俺は、やっぱりこの世界の顔の善し悪しがわからないと思った。

 

 恐らく前世ならはるのちゃんは清楚系アイドルとして天下を取ってもおかしくないレベルだと俺は思う。

 ……まあ今普通に考えると、彼氏が出来るなら裏アカを作ったりしないよな。



 「そっか。……今まで男にどう言われてきたのかわからないけど、俺ははるのちゃんを可愛いと思ってるよ。 それに人の好みは別々で全員が全員とも同じ顔の人がタイプじゃないんだから、きっと何時か良い相手が見つかるよ! 」


「……は、はい。 ありがとうございます。頑張ります!」


 

 よかった。元気になってくれたみたいだ。

 せっかくのデートなんだから暗い話は無しにしないとね。


 


「――ってごめん話し込んじゃったね! この話は後にするとして……早速買い物行こうか!」


「は、はい! ………ボソボソ………これってデート、、、ですよね……?? ――キャッ」


 

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