この天才な僕に、恋してください。

きりん

Prologo: Al ×××

 二年前の春。

 もしあの時、あなたに出会わなかったら、わたしの人生はどんな結果になるだろう。

 あの二人に捨てられた時、自分ですべてを終わりにしたのか。

 誰かの好意を、何も考えずに返事して、結局その人を傷ついたのか。

 ネットで色んな方法を試し、闇雲に他人の承認を求めて、欲望の渦に落ちたのか。

 新たな家で、息ができないくらい生活を過ごし続いて、やがて臨界点を突破し、誰にも望んでいない事件を起こしたのか。

 どんな可能性を考えても、同じ結論に導いた。


 ――わたしは、だった。


 そんな考えは、あなたと付き合ってからも、たまにわたしの頭の中で出現した。


 でも、



 ――あなたがわたしに言った。


 そう思えば、あなたがわたしの人生に現れるのは、とんでもない幸運なことだったかもしれない。

 この二年間の思い出は、今でも宝石のように輝いている。

 だから二年前、あなたと付き合うと決めた時、わたしが言った言葉を、もう一度繰り返しましょう。


』。

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