第8話
「はぁ?何急に変なこと言ってんだよ?!っつかログアウトさせろよ!」
「おや?悪さをしていた割にHOTのペナルティについて知らないとは・・・では軽く説明いたしましますね。この空間通称『刑獄』と言われている空間では外部への通信、ログアウト、スクリーンショットといったことはできません。また、仮にPCの前から離れたとしても弊社製のPCですのでシャットダウンもできません。仮にした場合はスマホで、スマホも見ないならTVと貴方の身近にあるモニターに変わるだけです。まあその場合操作できないので一方的に言われるがままですがね・・・さらにいうと、仮にモニターを全部は壊すや破棄するとして逃げた場合は親、及び学生は学校に連絡が行きます。さらにいうと貴方のご両親の関係会社で弊社と繋がりがあればそのまま指摘し、貴方の精神的未熟からご両親揃って精神修養へ行ってもらい、改心をしてもらうことになります。まあこここまで行った人はほんの一握りですがね・・・」
「はぁ?!?!?!ふざけんなよ!!!なんだそれ!!そんな勝手が許されると思ってんのかよ!!訴えるぞふざけんな!!!!」
「いやいや、貴方同意書にサインをしたでしょう?でなければこのゲームはできないはずですけれど、まあ国にこちらとしても青少年健全育成の目的に監督するという提携もしてますので、貴方がどれだけギャーギャー喚こうが一向に大人へは影響を与えることができません。要はグダグダ言っても無駄なんだよクソガキが?良いから質問に答えろよ??発明とはなんだ?言ってみろ?言わねーとおわんねーぞ??」
またもや一転穏やかな表情から急変して今度は荒ぶれた様子で荒っぽく質問を繰り返す。その温度差や他人から面と向かって怒られたことがない、細かくいうと大人から威圧をされたことがない経験から怖気ついてしまう・
「なんだよ・・・言えば良いんだろ!火だろ!そんなの誰でも知ってんだろ?それがなんだって言うんだよ!」
「それは原始の話で発明じゃねーだろが・・・まあいいや学力の数字から勉強に興味ないもんなぁ。まあ俺も君の時には分からねーから仕方ないけどな。まあ簡単に言うと『社会』だわ。単独では弱い生き物だった人類がコミュニティを作り、生存戦争をを生き残ってきた結果が今の俺たちだと言われてる。でその『社会』とは現実のものだが、このHOTというゲームでもそうだ。『社会』とは大多数の意思と平均でできている。その中で『社会』を乱す輩は現実ではどうなる?逮捕されて刑を申し付けされる。君がしていることは現実で言う刑を犯すことと同じってことなんだよ?」
「はぁ?!ゲームだろ!好きにやって何が悪い!俺が楽しくないゲームなんておかしいだろ!?」
「だから『社会』だって言ってんだろうが!お前だけが良ければ良いんじゃねーんだわ、運営は全ての人に楽しんでもらうことが目的であってお前個人の為にゲームはねーんだよ!運営のお客様はゲームを心から楽しんでくれる人であって、他人に迷惑をかける、他人に自分の意思を押し付ける輩はお客様ですらないんだよクソガキが!」
よくオンラインゲームの歴史で衰退する理由としては新規勢が入ってこない、続かない大きな要因である。もちろんコンテンツを育んでいく上で、先駆者として盛り上げて行くことは大事ではある。だがしかし他人のプレイまで自己都合で押し付けてくることはコンテンツを盛り上げることにはならず、ユーザーのモチベーション低下やユーザー離れの大きな原因となる場合が多々である。逆にコンテンツを伸ばしていけるゲームは古参が新規を受け入れ、適度に指導し適度に放置しながら、そのゲームを自分なりに楽しんでもらえる環境を生むことが大きな要因であった。
まるで運営とは思えないほどの暴言を吐きつつ、徐に『右手を前方へ上げ、人差し指を伸ばし銃のサインを表しす』動作をする。分かるものが見れば「are you redy?」と聞こえてくるような仕草でもある。
「さて、問答する時間は終わった。HOTの運営のお客様サポート係は全ユーザーに寄り添うのがモットーなんでな。だからお前の可能性と性質を確認する。」
『『WELCOM TO MY BLACK PARADE!!』』
そう唱えながら『『手を返し人差し指を上に上げ挑発するようにし、そして思い切り空を切るように下に下げる』』その瞬間八重桜の背後に漆黒の門が生まれ、黒い霧が滲み出ながらゆっくりと、門が開き始める。
「それ」は黒と金と白で構成された楽団であった。漆黒をベースに裾の淵やボタン、前どめのモールは金で彩られ。門から蒼黒と白骸が先頭でバトンを振り、続きながら楽団がゆっくりと全貌が見えてくる。操る楽器は蒼くうっすらと鬼火を上げながらその楽団は空虚な空洞に蒼い炎の瞳を灯して、ゆっくりとそして賑やかに鼓舞するように楽団は歩いて出る。だがその楽団は恨み、妬みではなくただ静かに、厳かに炎を携えて強い意思持ち視線を上げて進んでくる。まるでそれは死を迎えるのではなく、死に打ち勝てと鼓舞するように強い炎を携えて。
蒼炎の縁に黒の生地に金糸で八重紅櫻の刺繍をされた旗を振り蒼炎の火の粉を回せながら、行進楽団は進み全貌を表す。
「ふぉおおおおおおおおおこれか!!!!これかあああああああ!!!!マジか!!マジでか!!!やっぱりHOTは最高だぜ!!!」
「ぇぇぇ・・・どうしたんですか?!急に・・・すごいエフェクトですけど動画で見たたくさんの人で戦ってたボスの方がすごい気がするんですけど・・・?」
「ああそうか。嬢ちゃんはゲームそんなにやらない子だっけか?今までの所作で何がすごいってスキル発動までにモーションが入ってるってことなんだ。わかるか?」
「え、動画とかで見れば普通じゃないですか?公式の動画ってそうじゃないですか?」
「チッチッチぃ!違うんだなぁ!違うのよ!動画ってのは事前に作られてるんだぜ?でも今の動画っぽかっただろ?」
「そうですね。めちゃくちゃ違和感がなかったですが・・・なんでそこまでテンションが上がってるか本当にわからないんですが・・・」
「グフフ、今八重さんはモーションを入れながらスキルが発動できたってのがキモなのよ。試しにスキル試してみな?」
「あ、はい。ってあれ?」
フィリアはスキルを発動するが固定モーションが発生してエフェクトが生まれ技が繰り出される。
「そう、そうなんだよ。自由度が本来ないんだ。でも今八重さんはモーションを当てはめてスキルを発動できた。ちなみに運営の使ってるキャラは今後のアップデートの情報を出すってのが、初めからの流れでなってことはだ?」
「えーと、モーションを好きに組んでスキルが使えるってことですか?」
「correct!!そうだ、そうなると俺らはあの好きなアニメや映画の真似をしながらスキルが打てるようになるんだ!たとえば拳闘士の裂拳の前に大きく万歳してとか、色々できるのよ!まるで自分の思い描いた動きをキャラがしてくれるんだぜ?!これほど面白いことはないだろぉぉぉ!フォオオオオオオ」
「ぇぇ、まあそれはちょっと面白そうですけど諄くないですか?他の人の邪魔になったりしませんか?」
「まあそれはそうだな!でもどの程度かはわからないが、モーションを極力減らすこともできるわけだ。そうするとどうだ・・・?何もない空間から急にスキルが出るんだぜ?ワクワクしないか?」
「ぉぉ・・・それはちょっと楽しそうですね!子供の頃に見たアニメの再現とかできそうですねぇ!ちょっとワクワクしてきました!」
「そうだろうそうだろう!これは衝撃的だから後でツリッターに流しておかないと。みんな喜ぶ・・・・・っとはじまったな。」
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