第6話
「なんで…なんで俺の名前が運営にバレてるんだ!!!」
「そりゃクレームが来て当時の状況を運営が監視してプレイヤーの特定まで終わってるからに決まってるでしょ?それに運営から警告メール送ってますよね?もしかして見てないんですか?馬鹿なんですか?」
「はぁ!?ただの警告文だろ。それに俺は初心者の育成を手伝ってやってるんだ!何も悪いことはしてないだろ!!ふざけるな!運営の暴挙だってスレッドにあげるぞ!!!」
「はぁ…これだから勝手な理論でやってる奴はなぁ…ってかお前何回かリジェクトされたよな?心理判断で。だからもうちょっと白雪のリサーチを聞き入れればっていうのに…まあいいか」
「何ぶつぶつ言ってるんだ!俺は初心者にこの世界の厳しさを身をもって体験させてやってるんだ!そのために何度も繰り返してここまで釣れる様になったし、感謝されて当然だろう!俺の考えは何も間違ってない!心理判断だってお前たちが勝手に決めつけた内容に従わないからって弾きやがって…本心じゃなくてもスレッドの解答見てイヤイヤ登録してやったのに!」
「はぁ…あーめんどくさい…本当にめんどくさい…何でこう勝手に運営の意図を反して自分の気持ち優先してしかも他人に迷惑かける連中は本当に面倒臭い…白雪よぉ・・申請に必要な問題は選択肢だけじゃないんだわ。加賀美君さぁ君のスマホの端末から行動記録、学校の素行、両親の会社での評判も全部リサーチ済みなんだよ。その上で何回か問題があるからリジェクトして、何回も来るから熱意を買ってユーザーにしてあげたっていうだけでこちらでは別に君みたいなユーザーは求めないのよ?」
「はぁ!?ふざけるなよ!!なに勝手に個人情報引き抜いてるんだ!それこそ違法だ!これをスレッドに上げて世界中に知れ渡れば莫大な損害賠償だって貰える!ありがとうよ。運営が馬鹿でよかったわぁ」
加賀美はしてやったりとした顔で嗤う、が八重桜は別にどこ吹く風という感じで平然としており全く焦ってすらいない様子で切り返す。
「何その不思議ポジティブ・・・。世の中そんな簡単に物事がいくわけないでしょ・・・?利用者登録の際にうちの会社に個人情報の管理を一任するっていう文言が何回もあって最終的にそれのチェックしないと登録できないようになってるだろうが…説明書読まないでやる子供かぁ…親のせいなのか個人のせいなのか分からんなぁ…」
八重桜は引き気味に哀れみを持った表情を加賀見向けてさらに言葉を続ける。
「実際にここまでシステムの虚をついてやってたことは内容はともかく修練を感じるし、感嘆できなくもない、がベクトルが違いすぎる。君の正義感の琴線が人と違うことが最大の原因なのかもしれない。そして私自身も正直君の気持ちは理解できる部分もある。まあ私の場合はやられた側だけどねぇ・・・。未経験で仕事を初めて突然経験者でも大変な作業をやらされて、できなくて責任を問われ叱責される。その後はそれを元にマウントして社畜の出来上がりっと・・・くそがああああああああ」
初めは穏やかな表情だった八重桜の顔が急変しまさに修羅の顔に変貌する。
「なんだ・・・こいつ運営なのに狂ってるじゃねーか!ほら俺の方が間違えてない!普通なんだ」
急変する八重桜を見てさも感性がおかしいのは他者であり自分は何も間違えていないということを自分で再確認し自分に言い聞かせるように呟いた。
「っと失礼。君もあと数年歳を得て社会人になれば身の回りにありふれた愚痴ですよ。さて良い機会なのでここで質問です。ある有名な学者の発言ですが、『人類の最大の発明とは何か?』というものがあります。貴方はなんだと思いますか?」
「はぁ?!急に何言い出してるんだよ?!俺は悪くないからさっさと行かせて・・・・ってコンソールが出ない?!なんで????」
温度が急変かした様に突然落ち着いた八重桜がそうゆっくりとした声で質問をするし、付き合っていられないという風で退散を決め込もうとしたが、操作コンソールが全て消えている状態になっていることに今気がついた。
「なんだろう・・・急に会話が聞こえ無くなったと思ったら変な演出が二人の周りから出てるし・・・どうしたらいいんだろう・・・」
一方、展開に置いてけぼりなフィリアであった。
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