(4)

「な……なに、やってんだよッ⁉」

「なんね、あんたの人格の方が表に出とったとね?」

「えっ?」

 そして……。

「あああああッ⁉」

 蘇えっていく……あの忌まわしい記憶の数々が……。

「くくくく来るな……この……」

「安心せんね。あんたは、もう御役御免やけん」

 そうなのだ、人間さんは、もうガジくんに変身する必要はないのだ。

「ほ……ほんとうに? う……うそじゃないよな」

「うん、最後に、たった1つだけ、やって欲しい事が有るけん、それが終れば……」

「なに? なに? なに? なに? どうせ、ロクでもない事でしょッ?」

「う……たしかに、言いにくい事かもしれんね」

「何をやらせる気だッ?」

「卵生んでもらえんね?」

「はぁ?」

「だから、卵生んでもらえんね?」

「な……な……何を言って……って、?」

「うん」

「で……でも……卵生んでも……それって……有精卵じゃないから……えっと……何の為に卵を……」

「大丈夫、卵は受精しとるけん、子供は生まれる。ウチとガジくんは、その卵の中の子供に転生するけん」

 何だ、そのエロゲかアメコミのキャプテン・マーベルでやって大炎上したよ〜な展開はッ?

「ちょ……ちょ……ちょっと……あたし、いつ、誰と何をしたッ?」

 その時、スーちゃんの頬っぺたが赤く染まり……。

「だ……だから……その……ウチと散々……」

「あんた、オスだったのかッ?」

「いや、ウチも女の子たい」

「どうなってる?」

「いや、人間は、とっくに知ってたと思うけど……」

「何を?」

「ウチら恐竜は条件によっては女の子同士でも子供作れるって……」

「知らん、知らん、知らん、全く知らんッ‼」

「おかしかね? 人間が作った映画でも、そう云う場面が有った筈やけど……?」

「何だ、その変態映画はッ⁉」

「やっぱり、おかしかね? 有名な映画の筈やけど……」

「だから、どう云う映画だッ?」

「……ジュラシック・パーク……」

 はあッ?

「だから、あの映画の恐竜の子供は、女の子同士で作ったって設定やったやろ」

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