(5)

「優希……よかった、無事やったか……」

 牧場に帰り着いた頃には、すっかり暗くなっていた。

 そう言って、あたしを見た、お父さんの手には散弾銃。

 って、何でだよッ?

 そして焚き火に照らされて浮び上がる姿は……。

「お……おねがいします……。ひ……ひとおもいに……楽にして下さい……」

「黙れ」

 ドオンッ‼

「ぎゃぁッ‼」

 悲鳴の主は……十字架に縛り付けられた……ナチスの軍服っぽい服を来たトカゲ人間。

 そのトカゲ人間の右足が、散弾銃の銃弾で吹き飛んだ。

「見てみろ、お前誘拐した一味の処刑Y****beで生配信したら……一〇万人以上の人が見てくれとるぞ」

「あ……あの……お父さん……これ……殺人……」

「大丈夫じゃ。生配信見てくれとる元検事の弁護士の人が、こいつは、どう見ても人間じゃなかけん、殺人罪にはならんてアドバイスしてくれたけん」

 誰だ、その阿呆弁護士?

 SNS上でフォロワーが多い医者と弁護士にはロクなのが居ない、ってのは、あたしらSNS世代にとっては常識だぞッ‼

「あの……すいません……」

 そう言ったのは、息も絶え絶えなトカゲ人間。

「何じゃ?」

 ドオンッ‼

 続いて左足も吹き飛んだ。

「ぐえええ……娘さんも戻ってきた事ですし……お願いです。お願いです。お願いです。早く私を楽にして下さい。生きて帰るのは諦めました。殺して下さい殺して下さい殺して……」

「ああ、良かぞ。楽にしてやっけん、まずは、お前らの仲間に、おい達人間への無条件全面降伏呼び掛けろ」

「は……はい……。同胞の皆さん、これ以上足掻いても苦しみが増すだけです。最早、我々は、大人しくこの世界を人間と恐竜の皆さんに明け渡して……世界の片隅で、ひっそりと生きて、ひっそりりと滅んでいくべきです。まだ、間に合います……早く……最寄りの『に出頭して下さい。今の内なら……。我々の未来の為には、我々が死ぬしか無いんですぅ……」

「おお、よう出来たの。役者じゃの、あんたも」

「は……はい……ありがとうございます……」

「で、Y****beのコメントで募集しとった、あんたの処刑方法やけど……」

「へっ?」

「じゃあ、一番、ス××ャくれた仙台の匿名希望さんのリクエスト『ナチ野郎をKKK方式で処刑したらチョ〜馬鹿ウケだと思います』で……」

「え……え……え……?」

 その夜、燃え盛る十字架から、三〇分以上に渡って、トカゲ人間の悲鳴が轟き続けた。

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