第五話:????
ここはとある国にある部屋の一室。
二人の人物がエシリドイラル王国で起きた一つの事件について話をしている。
「結果が来ましたので報告いたします」
「始末は出来たか?」
「はい」
「三人共か?」
「三人共です」
「ククッ、そうか。こんな簡単に上手くいくとはな…… 目覚めていても可笑しくはないと思っていたのだが、覚醒前だったか、まあいい。これで私の邪魔をするものはもういない」
「はい」
「イザベラ・コンパネーズ…… フィルミーヌ・ルナ・メデリック…… そして」
「マルグリット・グラヴェロット……」
「よし、私はもう行く。後の事は任せる」
「はい」
報告を受けた人物は嬉しそうに部屋を出て行った。
報告を行った人物は無表情で部屋を出ていく人物を見送っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ここは……どこ……?
まっくらでなにもみえない。
わたしは……だれ……?
わからない……じぶんが……なにものなのか……
たすけて……だれか……
あれ……とおくに……ひかりが……みえる……
ひかりのところに……だれか……いる……?
あのひとは……だれ……?
『まに……ごめ……もうい………たに…………ほしい……』
よくきこえない……
もっと……ちかづかなきゃ……
あなたは……
そうだ……
なんで……わすれてたんだろう……
フィルミーヌ……さま……
ようやく思い出してきた。
ごめんなさい、フィルミーヌ様。
私はフィルミーヌ様をお守りすることができなかった。
あなたの役に立つことができませんでした……。
あなたのナイトにはなれませんでした……。
私にはもう何もない……。
私には!!!!何も!!!!!
何もかもが終わってしまった!!!!!
『いいえ、マルグリット。終わってなどいません。むしろこれからが始まりなのです』
どういう…… 事でしょう……?
『あなたなら……いえ、あなたにしかできないことなのです』
私にはできません!あなたを死なせてしまった私には何もできない!
『ごめんなさい、マルグリット。辛い役目を押し付けてしまって。お願いすることしかできない私を許してください』
そんな!謝るのは私の方なのに! でも…… 私にしかできない…… 出来るんでしょうか……?
『はい、そしてそれは今が好機なのです。彼らの目を誤魔化すにも』
彼ら……? 彼らとは誰の事ですか?
『あなたたちを殺したもの……そして、わたしたちの敵』
私たちを殺した……
私の奥の何かがざわつく……
『マルグリット、ダメ。怒りや憎しみだけでは彼らには勝てない。負の感情は彼らの得意とするところ。
彼らに飲み込まれてしまう。あなたを邪魔した者たちの様に。
でもあなたにはもっと大切な、大きなものがあったはず。
思い出して。何故、あなたは騎士を志したのか』
私が…… 騎士を志した理由……
それは……守りたい人がいたから……
あなたを守りたかったから!
『そう、あなたの彼女を守りたいと願う心、彼女を慈しむ心、愛する心。
すなわち正の感情、それがあなたの最大の武器。それを忘れないで』
私の……武器……
『時間が迫っています。私はそろそろ行かねばなりません』
待ってください!私を置いていかないで!
『大丈夫、またいずれ会えます』
そんな!嫌です。私も連れて行って!
『目覚めの時です。マルグリット』
待って!フィルミーヌ様ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「フィルミーヌ様ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…… あ?」
ん? ここはどこ? ベッドに寝てたの私……
え? ベッド? 生きてる? 何で? 周りを見渡してみたところ、見覚えのある部屋……
あれ? 実家? なんでここにいるの? 私……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます