僕らは嫌い同士で恋人
雪鵠夕璃
プロローグ
【青春謳歌】
それが俺、
「
「もうやだ~♡
美男美女のカップルがイチャコラしてるのを見て、俺は足早にその場を後にする。
【恋愛】。それもあるいの青春だ。他にも、部活動で仲間と汗を流したり、絆を深めたり。複数人の友達と海に行ったり、飯に行ったり、テーマパークに遊びに行ったり。そのどれもが【青春】だ。
かく言う俺は、【青春】にあまり興味が持てない。そもそも目付きが悪く、あまりの声の低さに怖がられてる時点で青春するのは難しい。
まぁ、そういう訳で青春とは縁のない生活を送っていたわけなのだが--。
「おーい!!青く~ん!!」
ほら、来た。
俺は軽く溜息をついた後、自分なりの爽やか笑顔を浮かべて、声のした方に振り返る。
「あぁ、夏歌か。おはよう」
俺は、肩につくかつかないか位の髪の長さをした活発そうな小柄な女子生徒が声の届く範囲まで来たのを確認してから、声をかける。
彼女の名前は、
「ごめんねぇ。結構待たせたよね?」
夏歌は息を落ち着かせた後に、上目遣いで尋ねてくる。俺はその言葉に予め用意していた言葉を告げる。
「いや、大丈夫だよ。俺も今来た所だからさ」
ちゃんと爽やかな笑顔を付けて。しかし、
「…なんかトキめかないわね。爽やかさが全然足りない」
スっと真顔になった夏歌にダメ出しを受ける。更には、
「何度も言ってるけど、もう少し爽やかに笑えないの?それに声がまだ低いわ。そんなんじゃ彼女のひとりも作れないわよ、青」
追撃と来た。流石の俺もそれに対しては我慢できない。
「はァ? お前にだけは言われたくねえよ、バカ夏。そもそも俺に爽やかさと活発な声を求めんな」
自分なりの爽やか笑顔を捨て去り、睨みつけるような表情で罵る。
「それにだ、お前の練習に付き合ってやってんだから、感謝しろ」
特に言いたかったことを夏歌に告げる。しかし、
「はいはい、それはどうもありがとうございました!はい!これで終わり!感謝したんだからアンタも最後までちゃんと付き合いなさいよね!ほら!もう1回最初からやるわよ!!」
と、悪びれもなく早口でそう言い切った夏歌は最初のスタート地点に向かった。
その背を見つめながら、俺は改めて思った。
やはり、
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