11.飴色
キャラメルみたいな玉葱。立ち上る鋭い香気。つんと鼻を刺す匂いは、炒めるほどに丸まっていく。
胸の奥が痛い。
彼女はもういない。大喧嘩の末に出ていった。手作りカレーの作り方だけ、私の手の上に残して。
私、丸くなれなかったのかな。しんなり甘くなった、飴色の玉葱みたいに。
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