28.しゅわしゅわ
「二酸化マンガンは触媒です。過酸化水素水を分解させますが、自身は反応しません」
先生の手元で、しゅわしゅわ泡立つビーカー。
黒い粒に触れ、液は勝手に分解し、勝手に酸素と水になる。
勝手に泡立つ私の心。勝手に砕けて沈んでいく。
先生に、北山紀子に、爪痕一つつけられずに。
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