16.錆び

錆びついていたのは私の目か。耳か。心か。

自宅に厚い封書が届いた時、美希は既に旅立っていた。遺書に長々綴られた、私の一挙手一投足。熱い憧れの視線に、なぜ気付かなかったのか。

美希が女だったから?

男だったら意識してた?

赤錆が浮いた火葬場の鉄扉が、棺を静かに迎え入れる。

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