神様の存在証明

フクロウ

第一章 白い世界と白い少女

第1話 プロローグ

 白い。果てしてなく白い。真っ白な空間がどこまでも続いている。黒いスーツがこの空間では異彩を放っており、肌の色さえ違和感を感じる。

 ここでは自分自身が異物のようだ。


 訳もわからないままとにかく歩き続けていた。不安に押し潰されそうになりながら半ばパニックになりながらひたすら歩いた。しかし、人もいなければ埃や塵一つ見当たりはしない

 音もなく、響くのは自分の足音だけ。息があがり、自分の心臓の音さえ聞こえてくるのではないかと思う程静寂の世界である。

 

 そもそも、本当に進んでいるのか? 

 ただ足踏みをしているだけなのではないかと思ってしまう程、何も変わらない景色に焦りが増していた。


「だ、誰か! 誰かいないのかよ!」


 狂ったように走り出す。が、フラフラの足がもつれ、盛大にコケた。


 身体に痛みが走りながらも、顔をあげすぐに周りを見渡した。もちろんそんな自分を嘲笑してくれる人などはおらず、そのまま大の字に仰向けになった。


 空もなく、天井もなかった。

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