第23話

「エリザベス! ボリス・ル・マリエールという男爵が犯人よ。ここはマリエール男爵の隠れ家だそうよ!」


「分かったわ! すぐにフレッド様に伝えるわね! シャーリー、もう少しよ! 頑張って!」


「ありがとうエリザベス。見張ってるかもしれないから、通信は切るわね。他にも調べてみるわ!」


エリザベスと通信を切り、部屋を調べる。


豪華な部屋ね。貴族手当だけでこんな部屋用意できる訳ないわ。という事は、事業をしてる?


とにかく窓から景色が見えれば情報が集まるのに……。


窓はわたくしが手を伸ばして鉄格子の端をようやく掴める程度。景色は見えないわ。


何か踏み台のようなものがあれば良いと探すが、家具は全て固定されていて動かせない。


何かないかと部屋を探し回り、ベッドの下を見ると鎖があったわ。手錠などの拘束具や怪しさ満点の何に使うか分からない道具がたくさんある。


……何する気なのよ。


でも、この鎖を使えば窓の外が見えるかも。鎖を鉄格子に引っ掛けて、少し壁を登ると景色が見えた。以前バイトしてたレストランが見えるわ。だいぶ高い建物みたいね。


急いでエリザベスに通信で伝えたら、ガチャガチャとドアが開く音がした。まずい! 鎖を片付けるのと防音魔法解除どっちかしか無理。


魔法が使える事はバレたくないから、急いで防音魔法を解除してから、鎖を片付けようとしたがやはり間に合わなかった。


「おやおや、悪い子ですねぇ。窓からは何が見えましたか?」


「その、見た事ない場所でしたわ。ここは、高いところのようですね……やはり逃げられないのでしょうか……」


「無理ですね。さっさと諦めて下さい。ずっとここに居たくはないでしょう?」


「もう少ししたら諦めますから、ひとりにして下さいませんか?」


「ダメです。悪い子は見張らないとね」


やってしまった……。こうなったら、鉄格子の中に入ってこないように時間を稼ぐしかない。


「……ごめんなさい……許して下さい……」


閉じ込めるのは、わたくしを支配したいから。従順なフリをすれば、時間が稼げるかしら。


「許して欲しければ、ここで脱げ」


……は?!


「聞こえなかったか? 許して欲しければここで服を脱げと言ったんだ。全裸になれ。そしたら許してやる」


「……それは、無理です……」


「なら入って脱がしてやろうか?」


それはイヤ!

どうする? 繭に閉じ籠る? いや、まだ早い。


「やります……でも……すぐには無理です……」


とにかく、時間を稼げ。この人が近づいてこなければ良い。


「30分だけ待ってやる、だが30分しても何もしなければ中に入るぞ」


30分稼げたなら上等ね。


「……わかりました、時間をくれてありがとうございます」


満足そうに笑ってますけど、アンタに見せる肌は一ミリも無いんだから!

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