第21話【フレッド視点】
何故オレはシャーリーを信じられなかったんだ。
「エリザベス様、シャーリーと繋がる通信魔法をお使いできるのは貴方様だけです。お手数ですが、ご協力下さい。妻を助け出します」
「もちろんですわ。先ほどまで泣いていたとは思えない変わりぶりですわね。ようやくシャーリーを信じられましたか?」
シャーリーと結婚出来たのは嬉しかったが、急に話が進み彼女は流されているのではないかと不安もあった。シャーリーは家を出たいと聞いていたし、私は都合が良かっただけなのではないかと。
しかし、シャーリーは熱っぽい視線を向けてくれるし、結婚と言われても嬉しそうにしているから、早く捕まえたくてクリストファーの案に乗って結婚の手続きまで済ませてしまった。
シャーリーの両親は、私に良い感情を持っていないから、反対される前に結婚してしまえという思惑もあった。
だが、シャーリーの家に行ってみればオレの贈ったドレスは見知らぬ女が着ていて、シャーリーは居なかった。
絶望のまま帰って来て、辺境に帰ろうとしたらエリザベス様に呼び止められ、シャーリーが結婚をやめたいなんてありえないと言われた。信じられない。実際シャーリーは居なかったではないかと言っていたら通信が入り、彼女が何故居なかったかを知った。
彼女は、オレを愛してると必死で訴えていた。
何故オレはシャーリーを信じなかったんだ。様子を聞けば鎖に繋がれていると……彼女はオレの妻なのに、他人が捕まえるなど許せない。
あまりの怒りに、壁に穴を開けてしまった。
「ああ、もうシャーリーを疑ったりしない。彼女は私の妻です。それから、申し訳ありません。壁を壊してしまいました。後日弁償致します」
「構いませんわ。どうやってシャーリーの居場所を探すおつもり?」
「まず、もう一度彼女の実家に行きシャーリーの姉から話を聞きます」
「それは、お兄様にお任せしましょう。お兄様なら、素直に話して下さるわ」
「分かった。私が請け負うよ。フレッドは、ケイリーを締め上げろ」
「任せろ。オレの妻に手を出した事を死ぬほど後悔させてやる」
「わたくしは、シャーリーと随時通信致しますので、お兄様とフレッド様にお伝えしますわ。フレッド様、こちらの通信を補助する魔道具をお持ちください」
これがあれば、オレとエリザベス様も通信魔法で会話できる。通信魔法は、ある程度親しくないと使えないのだ。
「ありがとうございます。お借りします」
「絶対助けて下さいましね! シャーリーは、本当に嬉しそうでしたもの。フレッド様と一緒なら、岩穴に住んでも良いと言っておりましたのよ」
そんな事を言ってくれていたのか。それなのにシャーリーを疑うなんて、オレはなんて愚かだったんだ。
「シャーリーを一瞬でも疑った自分が恥ずかしいですよ」
「戻ってきたら、シャーリーに土下座でもすればよろしいですわ」
未来の王妃は、オレに御立腹のようだ。
当然だな。シャーリーは必ず連れ戻す。
会えたら、まずは土下座で謝ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます