世界が素晴らしすぎて死にそう 

なし

??

 

 鍵の掛かった暗い部屋の中。

 学習机から落ちそうに置かれている開きっぱなしのノートパソコンが明るく光を放っている。

 画面にはあるサイトの掲示板が表示されている。


------------------------------------------------

 928 宗一郎 08/07(金)15:36

 もういいよ(笑)

 戻ってきて

 

 929 宗一郎 08/07(金)15:48

 まさか、まだやっているの?

 ゴミクズ以下の熱い思いはじゅうぶんに届いてるよ

 だからはやく戻ってきて~


 930 宗一郎 08/07(金)15:54

 今日で最後なんだし

 もっと話がしたいんだよ~><


 931 宗一郎 08/07(金)16:32

 大丈夫? どうかした?

 

 932 宗一郎 08/07(金)17:46

 おーい、何をしているんだ~


 933 宗一郎 08/07(金)22:14

 ノリが悪くて飽きられちゃったかな

 ごめんなさい


 934 宗一郎 08/07(金)23:47

 スマホを解約するのでもうメッセージは送れなくなる


 935 宗一郎 08/08(土)00:02

 君のおかげで最後に良い思い出ができたよ

 短い間だったけどとても嬉しかった

 俺の事は全部忘れてください

 ありがとう


------------------------------------------------



 街灯と月の明かりが部屋の閉め切られたカーテンに窓枠の影を浮かび上がらせている。


 ベッド上のシーツとタオルケットはぐちゃぐちゃ。

 床には脱ぎっぱなしのTシャツ、枕、ダンベル、土をぶちまけた小振りの鉢、マンガ、倒れた扇風機、マーカーペン、空のペットボトル、ガラスの割れた壁掛け時計、クシャクシャに丸められたティッシュなどのゴミが散乱していてその真ん中に血の付いたひらひらレースの白いミニスカートをはいた上半身裸の男が頭部にゴミ箱を被った状態でうつ伏せで倒れている。

 

 ピコン! とノートパソコンが鳴る。


------------------------------------------------

 新着!

 936 宗一郎 08/08(土)00:08

 さようなら

 

------------------------------------------------ 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る