六章 ゴモラ大乱戦!
第31話 奴隷市場♡♤
やってきました。奴隷市場。
へぇー。これがファンタジーとかゲーム転生とかでよく見る奴隷市場かぁ。
たしかに、一部にだけ売り物を見せるためのひな壇があり、そのまわりに見物席がもうけてあった。と言っても、ファンタジーなんかと違うのは、観客席が異様に少ない。せいぜい十個。
やっぱ、そうなんだな。この世界の人口のほとんどは沙織だから、わざわざ奴隷を買いに来るわけがないんだ。自分で分裂増殖できるんだもんな。
てことは、ゴモラの客層は世界中に二十人しかいない男。その全員なのか、一部なのかはわからないけど。
ひな壇の上には十人くらいの女の子があげられてた。
周囲をロボット兵が見張ってる。
客席には……男が一人すわってる。なんだ。一人か。競売じゃないな。一人なら言い値、または交渉だ。
「マーク。よく来た」
ゴモラは両手をひろげて男に近づくと、大げさにハグした。秘書にはさわるなって言ってたくせに、ハグのあと念入りに握手なんかもして、歓待ぶりをアピールしてる。
マークと呼ばれた男は、なるほど。こっちも外国人だ。
ん? あれ? ハ、ハリウッドスターのマーク・ゴールドストーンじゃね? う、嘘だろ? ハリウッドスターがここに?
そうだ。そういえば、マーク・ゴールドストーンって、一年前にとつぜん失踪したんだっけ。当時、ワイドショーでさわがれてた。
まさか、それって、こっちの世界に召喚されたからなのかッ? ヒデェな。どんな基準で呼ばれてるんだ? いろんな意味で謎が深まる。
にしても、困ったな。
男が二人になった。つまり、召喚者二人だ。ゴモラだけぶっとばせばいいってわけにはいかないか。ハリウッドスターとも戦う? 戦うのか、おれ? 見るからにマッチョだけどな……。
胸のボタンを押すと、マークのステも見えた。レベル20。あっ、ゴモラほどじゃない。呼ばれたの一年前だからか。まだ、こっちでの戦闘回数が少ないんだな。でも、数値はゴモラと同ていど。自分のホールダーたちとやることやってるんだな。そのデッカいナニで、ゆるせん……おれの八乙女さんと……。
行けるかな……二人同時相手はツライな。さっき、ゴモラだけ袋だたきにしとくんだった。
思案してるうちに、ひな壇の女の子たちを見て、男二人が英語で商談始めやがった。マークのやろう、商談しながら乳もんだり、スカートんなか手入れてやがる。
ひな壇には……水城と魔魅はいない。
が、そのとき、ララちゃんがささやいた。
「玲音くん。二子と三子がおる」
「いるのか?」
「右端と、左から三番めやん」
どれどれ。あっ、あれか。
右端の二子はパッと見、カスタムゼロなんだけどな。でも、ランクはレジェンドだ。どうなってんの?
三子は獣耳系。というより、獣人系なんだろうな。狼っぽい黒い耳が頭についてる。スーパーレアだ。ただし、筋力値、超絶高い。一万超えだ。そのぶん、頭脳値と変異値は極端に低い。一桁。力に極振りか。
ああ、話しながら、ゴモラとマークは三子に近づいてく。マークはレジェンドの二子より三子が気になってるようす。
なるほど。ステータス見ると、マークの頭脳値は低い。150切ってる。そのわりに筋力値は四桁だ。五千近い。こいつ、力に一点集中してるんだな。
てことは、もしかして、魔法攻撃に弱いのかも?
おれが攻めかたを考えてたときだ。
いきなり、壇上にとびあがっていく人影があった。
「こらー! 二子と三子を返せー!」
ああっ……忘れてた。小山内だ。あいつ、ほんと、なんも考えてないよな。
自分だって美少女なんだから、負けて捕まったときのこととか、よく考えて行動しろよ。
「なんだ、おまえは?」
「ゴモラ、きさまを成敗してくれるー!」
「こんな召喚者いたのか。ロボット兵。捕まえろ」
ああ、ほら、言わんこっちゃない。
しょうがないんで、おれは彼らの前にとびだした。こうなったら、もうやるしかない。あれこれ考えてる場合じゃないね。先手必勝だ。
「時よ止まれ!」
おれはいきなり、時間魔法を行使した。小山内になぐりかかろうとしてたマークと、そのまわりのロボット兵が動きを止める。おもしろい。マークなんか空中に浮かんでるぞ。そっか。跳躍した瞬間だったんだ。
おれは続けて、呪文を唱える。
「グリーンネット!」
よっしゃ! ロボットたちは緑色の蔦にがんじがらめにされた。マークは浮かんでるんで、足にだけからまった。でも、充分だ。時間止まってるの十分だから、急がないと。
おれは壇上にかけあがり、マークのみぞおちにこぶしをつっこむ。が、イッテェ。かたいのなんの。筋力値か。攻撃力だけじゃなく、物理攻撃への防御力にもなってるんだ。熊みたいにかんたんには、ふっとんでくれない。
数発なぐってみたけど、効いてる感じがない。
そうだった。魔法が効くかも?
「ライティングシャワー!」
グレースの光魔法。効くか?
「グエエーッ!」
効いた。マークは白目むいて倒れた。
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